2026/03/05
日本共産党の質疑を始めます。
まず、日本国憲法と平和について伺ってまいります。
高市首相は、二十日の施政方針演説で、国の理想の姿を物語るのが憲法だと言われました。日本国憲法の前文には崇高な理想が書かれていますが、憲法の本質は、国家権力を憲法で制限し、国民の権利や自由を保障することにあります。これは立憲主義の基本的な考え方であり、特定の権力者による恣意的な支配を防ぐための重要な役割です。
大日本帝国憲法時代に、言論統制、治安維持法による思想弾圧などの人権侵害、また、天皇主権の下で行われた権力の集中から戦争へとひた走りました。戦争と専制の反省から生まれた二度と同じ過ちを繰り返さないためのルールが日本国憲法です。
権力者を縛り、国民の権利や自由を保障すべき憲法を、憲法に拘束される権力者側が、自らの政治目標として改定を前面に出すことについて、憲法を守る義務九十九条との関係でどうなのかということが問われています。これは、国会議員だけでなく、区長や自治体職員、私たち区議会議員にも問われることだというふうに認識しています。
区長自身は、行政の長として立憲主義についてどのように考えるのか伺います。
憲法の立憲主義は、憲法は、統治権力の恣意的な行使を防ぎ、国民の権利や自由を守るためにあるという考え方であり、日本国憲法の根本には立憲主義があり、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義という基本原理を支えているものと捉えています。憲法は、国民に何かを課したり、あるいは統治権力がより潤滑に振る舞う、こういうことではなくて、憲法は国民に権利を保障し、むしろ統治権力を制御、暴走を防ぐために縛る役割を持っていると考えております。
自治体の長として、これまでも日本国憲法を尊重するとともに、区民の基本的人権を守ることを基本に、参加と協働による民主的なプロセスを大切に、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷の実現に向けて取り組んできました。これは、行政の長であるとともに、政治家個人としても変わることはございません。
現政権に関して、特に外交、安保に関する事項について、日本国憲法の定める議会制民主主義にのっとって熟議を尽くしていただきたいと考えております。予算委員会の審議が非常に縮んでしまうかどうかということが大きく懸念されておりますが、これはしっかり審議を尽くしていただきたいと思います。
また、憲法については平和国家としての根幹に関わることであり、さきの戦争を繰り返さないという国民的な議論を集積して、過去、亡くなった人たちも含めて出来上がってきたものであるということを自覚して、しっかりとした議論をしていくべきだと考えております。
改憲について、国民的な議論を巻き起こしていく必要があると。大変重要だというふうに思いますし、私たちも同意します。
また、世田谷区職員も、採用され、初登庁の四月一日には憲法遵守の宣誓を行うと聞いています。区の職員が宣誓を行う理由、その意義について認識を伺います。
地方公務員の服務については、地方公務員法第三十条に「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」と規定されておりまして、さらには、同法第三十一条に「職員は、条例の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない。」と規定されております。
これを受けまして、世田谷区では職員の服務の宣誓に関する条例第二条に、「新たに職員となった者は、任命権者又は任命権者の定める上級の公務員の前で、様式による宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行ってはならない。」と規定してございます。
日本国憲法を尊重し、かつ擁護するといった内容の宣誓を行うことは、新規採用職員一人一人が服務上の義務を負うことを確認し、公務員倫理の確立を図る手段の一つであるというふうな認識でございます。
日本国憲法を尊重して、それで区民の権利や自由を保障するということ、だからこそ区の職員が現場にいるということの安心感につながっているというふうに思います。こういった憲法を守るということは、やはり高市首相も例外ではないというふうに思います。
話は変わりますけれども、アメリカとイスラエルは、イランに対し大規模な軍事行動を開始しました。イランは、イスラエルのほか、クウェートとUAE(アラブ首長国連邦)、カタール、バーレーンにあるアメリカ軍基地・施設を標的とする報復攻撃、さらに、イランの同盟・代理勢力であるヒズボラ等もイスラエル領内や他地域で攻撃を実施しています。戦闘は、レバノン、シリア、キプロス、湾岸諸国周辺など複数地域に波及しています。三月二日、イラン民間人の死者が五百五十五人と発表されましたが、アメリカ、イスラエルによる攻撃とイランの報復による死者数はさらに増大しています。
日本共産党は、国連憲章と国際法を乱暴に踏みにじる無法な先制攻撃を断固糾弾し、トランプ政権に対し、直ちに攻撃を中止し、交渉による解決に立ち戻ることを強く要求しています。
日本政府は、イランの核開発は許されないとする一方で、アメリカへの忖度から、アメリカ、イスラエル両国を非難せず、国際法違反の先制攻撃に対する抗議もできない。大変情けないと思います。
さらに、自民党は、アメリカ、イスラエルによる軍事攻撃の直前、二月二十四日から二十五日にかけて、メディアに対し、殺傷能力のある武器の輸出とともに、紛争当事国にも特段の事情があれば輸出を可能とする武器輸出を全面解禁する自民党の安全保障調査会の提言を発表しています。
これまでも、国際紛争などを背景として経済界側から武器輸出要求が出ることがありました。しかし、歴代の自民党の外務大臣等が、武器輸出をしないことが国是だと言ってきた。例えば、一九七六年、宮澤喜一外務大臣は、我が国は兵器の輸出をして金を稼ぐほど落ちぶれてはいない。一九九一年、中山太郎外務大臣が、武器輸出三原則で国際平和のために一切武器を輸出していない、これが日本の国是であると言っておられた。平和国家の理念に基づいた我が国の取組を誇りとしてきたということだと思います。
武器輸出が全面解禁となれば、宮澤さんの言葉を借りれば、兵器の輸出をして金を稼ぐ国に落ちぶれてしまう。死の商人に成り下がることになります。兵器を輸出しないという国是、平和国家としての誇りを投げ捨てるものです。
また、攻撃を受け、イランはホルムズ海峡を封鎖し、アメリカの同盟国のタンカーが炎上、アメリカもこれに対抗との報道がされています。ここで思い出すのが、二〇一四年安保法制です。存立危機事態という概念が新たに示され、当時、安倍総理は国会答弁で、具体例として次のように説明しました。中東で紛争が発生、ホルムズ海峡に機雷が敷設される、原油輸送が止まる、日本向けエネルギー供給が途絶える、経済、国民生活が深刻な打撃を受ける、その結果、日本の存立が脅かされる事態になり得ると説明しました。つまり、日本が直接攻撃されていなくても、エネルギー遮断が国家の存立危機になり得る場合に武力行使が可能となるという内容です。
現状、安倍元総理の挙げた具体例に近い状況が生まれている中、実際に日本が戦争に参戦するのではないかという不安と同時に、この間、集団的自衛権容認の閣議決定、安保法制へと平和国家の誇りが剥がされても憲法九条が戦争に歯止めをかけてきたことを考え、憲法九条を守らなければとの思いを強くしております。
今年、ある団体の新年会の集いで紹介された菅原文太さんの言葉が私の心に刺さりました。菅原文太さんは、東日本大震災をきっかけに俳優を引退し、戦争反対、脱原発など、社会にメッセージを発信してきました。生前、ある集会で、政治の役割は二つある。一つは国民を飢えさせないこと。もう一つは最も大事で、絶対に戦争をしないことだとおっしゃっています。
誰もが戦争は望んでいないということは明らかです。今大事なのは、日本の平和をどうつくっていくのか、戦争をしないようにできるのかということを私たち一人一人が考えることだと思います。誰かの判断に任せず、自分自身で判断する。そのために区ができることは、やはり平和教育を進めることだと私は思います。
区長として、平和のために区として何ができると考えているか伺います。
菅原文太さんとは、私は生前、何度もその思いを直接聞いております。宮城県にお生まれで、私も宮城県だったので、空襲の燃え上がる町をながめて、非常に痛切にこの戦争を考えたという少年時代の体験をお話しいただきました。
答弁ですが、イスラエル、アメリカによるイラン攻撃によって戦火が広がる状況が続いていく中、これは一日も早い平和の回復を望んでいるところではありますけれども、毎日、ニュースを見ているとエスカレートしていっている。今や、イラン国内の犠牲者は一千人を超え、また、イランの反撃による各国の死傷者も出てきているという状態です。
日本はかつて、大変アメリカとの軍事緊張が高まった時期に、安倍元首相がイランを訪問して、軍事衝突回避の役割を果たそうと、最高宗教指導者とも直接向かい合って話し合って、軍事衝突回避ということを働きかけた。これは、欧米各国とは全く違う外交スタンスだったわけですが、現政権に、高市首相にもここを引き継いでほしいと思います。平和国家としての役割はますます重要であります。
世田谷区は、区議会の議決を経まして一九八五年八月十五日に平和都市宣言を行い、この理念の下、戦後七十年には平和資料館の整備、戦後八十年を迎えた昨年には記念シンポジウムを開催したり、戦争体験者、被爆者の方々が高齢化する中で、体験を語り継ぐことの意義を改めて確認してきているところでございます。若い世代にこれを伝えていくことが大変重要だと感じております。
その一環として、来年度から区立中学校の代表一名の中学二年生、計三十名の生徒たちを広島市に派遣し、被爆体験講話や、全国の中高生との討議を通して平和について主体的に考える力を育む、広島平和文化センターが構築したプログラム、全国平和学習の集いなどに参加する予定です。単なる知識の習得にとどまることなく、今、平和でない状態とは何か、自分にできることは何かを子どもたち自身が問い直す学びを重視していきたいと思います。
また、私ども世田谷区は平和首長会議に加盟し、国内外の都市と連携しながら次世代の平和文化の担い手を育成する取組も進めております。各都市の実践に学び合い、相互発信することで地域からの平和の輪を広げていくことができると考えております。
今後も、平和都市宣言の理念を尊重し、せたがや未来の平和館を建てた意義も踏まえ、平和施策を着実に推進するとともに、平和首長会議の場を活用しながら、戦争のない社会、平和を回復する社会の実現に向けて取り組んでまいります。
広島への中学生派遣は、子どもたち自身がつくる平和な未来への投資でありまして、これは大変期待したいというふうに思います。
次に、私立小中学校の給食の無償化についてです。
日本共産党は、義務教育は無償を定めた憲法二十六条に即して、学校給食や教材費の無償化を国の責任で進めることを求めています。来年度、東京都が私立小中学校給食費を無償とする自治体への二分の一補助に取り組むとしています。給食費の今年度区負担分は約二十億円の負担ですが、来年度から国が給食費負担軽減交付に取り組むとしており、区の負担が軽くなることが見込まれます。
私立小中学校への無償化に踏み出していただきたいというふうに思いますが、検討状況を伺います。
東京都では、令和八年度から私立小中学校等給食費等負担軽減市区町村補助事業の実施が予定されておりまして、給食費相当額に対する補助率は二分の一とされておりますが、補助上限単価など事務の詳細につきましては現在も調整が進められている段階と伺っております。
東京都からの補助がどの程度交付されるかにつきましては、制度内容が確定していないため、現時点では実質的な負担額を把握できない状況にございますが、区内には私立学校に通う児童生徒が本年二月現在で約一万四千人おり、区として無償化の対象を広げた場合、令和八年四月改定予定の給食費単価を基に試算をいたしますと、年間で約十一億円の財源が追加で必要となってございます。
教育委員会といたしましては、物価が高止まりしている状況の中、少子化対策として子育て世帯への経済的支援が重要であることは十分認識しおりますが、限られた財源の中で多様な行政課題に対応していく必要があることから、東京都の動向を注視しつつ、関係所管と連携し、慎重に検討を進めてまいります。
これはほかの自治体でも取り組むということが見込まれますので、世田谷区としても早急な検討を求めます。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
最後に、物価高騰から暮らしを守る区政運営を求めて、区長にお聞きしたいというふうに思います。
代表質問では、日本共産党世田谷区議団が実施した区民アンケート調査結果を紹介しました。暮らしが苦しくなった、以前から苦しいとの回答がコロナ禍に約五割だったものが、七七・一%へと増えています。深刻さが増しているということを指摘しました。基本計画にあるように、区民の生命と健康を守るために低所得者対策の充実を求めました。
区長は、長引く物価高騰の中、既存のベーシックサービスのみでは全ての区民生活を十分に支えることが難しくなっているという、そういう認識が示されました。であれば、区民の暮らしを守るために早急に対応していただきたい三つの問題について伺います。
一つ目は、医療、保育、教育、住宅、保険料や税金納付などにおける低所得者への配慮について、支援対象を生活保護や住民税非課税世帯だけでなく、もう少し上の層に対象を拡大するなど考えていただきたい。
二つ目は、住宅の問題です。区が第四次住宅整備方針策定に向け行ったアンケート調査では、家賃が高い、住宅費の負担感、区営住宅を増やしてほしいとの声が多かったと思います。ニーズが高いからこそ、整備方針の中でも重点施策に居住支援の推進による住宅セーフティネットの強化を挙げているわけです。
このことからも、区営住宅を増やすべきだと考えます。ちなみに、私どものアンケートでも家賃負担を軽くしてほしい、公営住宅を増やしてほしい、高齢者、若者など弱い立場への特別支援を求めるとの要望を多数いただきました。
さきの代表質問の答弁では、世田谷区公営住宅等長寿命化計画の中で検討するというものでしたが、私としては、これだけニーズが明らかなのになぜ増やすと言えないのか分かりません。空き家活用も含めて、区営住宅の確保の検討を進めていただきたい。
三つ目は、就学援助についてです。私どもが行った区民アンケートで、子どもの施策として充実させてほしいものは何かの問いで、一位が子どもの貧困対策でした。物価高騰が続く中、様々な支援の所得基準となっている生活保護基準は、引き上げられていないばかりか、今後、引き下げられると言われています。
総務省の消費者物価指数を見ますと、就学援助の支給範囲を生活保護の一・四倍とした二〇一九年と比較し、二〇二四年から二五年では八%から一〇%ほど上昇しています。一・四倍のままであれば、以前は対象だった世帯が外れてしまいます。制度は同じでも、実質は切下げと同じ状態になっています。現状の一〇%増であれば、生活保護基準の一・五から一・六倍の世帯までを対象とすべきと考えます。所管に試算していただいたところ、一・五倍に引き上げた場合は約四千三百万円、一・六倍に引き上げた場合は七千七百万円の経費が必要とのことでした。
本来であれば、教育の無償化で解消されるべきものと考えますが、区としてすぐに進められないということであれば、低所得者対策、子どもの貧困対策として早急に進めるべきと考えます。
この三点について、区長のお考えをお聞かせください。
お答えいたします。今、御指摘のとおり、長引く物価高騰、ここにイラン攻撃、今、中東の混乱、戦禍で、さらなる高騰が予想されるわけですけれども、生活保護世帯や低所得世帯にとどめることなく、これまで支援の対象にならなかった層にも大変物価高の影響と、生活が苦しいという、そのアンケート結果、相互関係があるというふうに思っているところで、補正予算において、国や都の物価高騰対策を踏まえて、せたPayや子育て応援手当の支給のほか、住民税非課税世帯だけではなく、均等割のみの課税世帯についても支援を決定し、現在、準備しているところです。
住宅政策についても、低廉な家賃で住むことができる良質なアフォーダブル住宅をしっかり整備することが重要だと考えております。なお、就学援助の認定基準の引上げにつきましては、社会経済情勢や他自治体の動向などを踏まえ、教育委員会と連携して適切に対応してまいりたいと思います。
国において、消費税減税や給付つき税額控除といった制度の導入が議論されていまして、こうした国の動向も注視しながら、区として、限られた財源の中で区民の暮らしの実情に即した支援策を検討し、区民の命と健康を守るという基本計画の理念の下、誰一人取り残さない地域社会の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。
今おっしゃっていただいたように、本当にホルムズ海峡の問題がある中で、物価高騰が今後考えられる、さらに広がる可能性があるというふうに思います。さらなる、そういった時期を逸することなく対応していただきたいということを求めまして私からの質問を終わり、中里委員に交代いたします。