2025/10/09
日本共産党の質疑を始めます。
私からは、まず、世田谷区立図書館の運営の在り方に関する方針(管理運営方針)素案について伺います。
まず、素案は以下のように述べています。指定管理の柔軟なシフト制度を生かして、開館日、時間の拡大などの利便性向上に寄与している。先進的サービス、企画力を生かし、他地域のノウハウの導入、斬新な講座や連携事業を迅速に展開できる。指定管理館の単位コストが直営平均を下回っており、指定管理料は年々逓増している傾向にあり、直営館、指定館で拮抗している。現状、指定館が優位性があるとのデータが示されています。指定館のノウハウを直営にフィードバックさせる双方向連携を行うとして、地域ごとにグループ化して指定管理館を地域に一館配置していくことが示されました。
そもそも図書館は、単なる貸出施設ではなく、社会教育施設として市民の学びや文化の基盤を支える存在であり、行政が責任を持つ空間です。したがって、運営方式の選択は効率性や利便性だけで決めていいものではありません。本会議で、社会教育の観点を管理運営方針に盛り込むことを求めた質問に対して、地域行政の推進を通じた住民自治の発展に寄与する役割が求められているとの認識が答弁されました。
改めて、区立図書館での社会教育の役割をどう考えるか伺います。
今後の図書館運営におきましては、住民自治の発展に寄与する役割を果たすための社会教育の拠点として、様々な世代の方々の学びを支援する取組を進めていく必要があるものと認識しております。
とりわけ直営館の職員につきましては、区民とのつながりや行政経験で培った視点に基づきまして、より丁寧なレファレンスや、福祉やまちづくりの学びの機会の創出に積極的に取り組み、住民の力による地域課題の解決につなげていくことで社会教育における図書館としての役割を果たしてまいります。
社会教育の実施者は図書館の設置者、つまり、世田谷区、教育委員会が責任を持って進めるべきものです。素案では、専門性、継続性の確保について、直営館では司書の高齢化をリスクだと表現しています。しかし、これは教育委員会の職員の育成や継続の取組が弱かった結果ではないでしょうか。これについてお認めになるか、伺います。
素案に記載した意図といたしましては、図書館の専門性を担保していく上では、司書有資格者が年齢層の高い職員に偏っているというところで、区としてこちらについて対応を要する重要な課題であると認識しております。
特別区では司書の専門職採用がございませんので、世代のバランスを考慮した有資格者の確保、育成というところが難しい事情はございますが、毎年度、若手職員を含めまして意欲のある職員が司書資格を得られるように資格の取得を支援するとともに、庁内の有資格者を対象とした公募を実施するなど、職員の専門性確保に向けた取組を継続的に行ってきたところでございます。
今後の直営館の機能強化に当たりましては、計画的な有資格者の確保、育成を推進していくことは必須でございますので、人事当局とも協議しながら取り組んでまいります。
我が会派は、図書館の質、専門性を高めるため、図書館司書を増やすことを求めてきました。御答弁のとおり、この間、区は司書資格者を増やしてきた。そういった努力はしてきているんです。しかし、十分とは言えない状況であるのは区の取組の弱さです。これを理由に指定管理館を増やすとの区の論理を認めることはできません。
今後、若手司書の採用、育成、定着計画をどのように担保するのか、御説明願います。
今後、直営館が求められる役割を担っていくためには、職員体制を強化し、職場での知識経験や、司書資格を有しつつ行政職員としてのマネジメントにも通じた職員配置が必要と考えております。まずは、若手をはじめとする多くの職員に図書館業務のやりがいや魅力を発信し、図書館職場で働く意欲が持てるような環境を整備するとともに、司書資格の取得についても継続的に支援してまいります。
また、図書館業務を経験した若手職員が様々な行政経験を培った上で、将来的に図書館運営の中核を担っていけるような、そうした流れが継続的に担保できるように、こちらも人事部門と協議しながら取組を進めてまいります。
あわせまして、外部人材の登用ですとか指定管理館との職員間の交流なども通じまして、職員の意欲や質を高めるなど、組織を横断した効果的な人材の確保、育成に向けて取り組んでまいります。
図書館の質、専門性を高めるためには、図書館司書を増やしていくこと、これは本当に必須ですので、今までも努力してこられたんですから、ぜひここはしっかりと進めていただきたいというふうに思っております。
次に、コスト面について伺います。
コストの優位性、リスク評価について、素案資料では、指定管理館の単位コストが直営平均を下回るグラフが示されています。ただし、指定管理料の年次増加も認められており、今後も上がっていくことが考えられます。
指定管理館のコストと直営館のコストを比較した際、人件費上昇、それから、物価上昇、契約更新時の値上げのリスク、維持管理費などを含めた将来的な推計モデルは存在するのか。そして、指定館の拡大の判断基準は何だったのか、伺います。
昨今の人件費や物価の上昇は、直営と指定管理であるを問わず、それぞれの運営コストに大きな影響を与えているところでございます。特に指定管理館に関しましては、素案の中でもお示ししているように、過去の更新時には二割程度の総コストの上昇が見られるなど、将来の推計値はございませんが、指定管理料が今後も上昇する見込みがあることから、コスト面での優位性は一概に評価できないとしたところでございます。
なお、新たに二館を指定管理館に移行することにつきましては、コスト面の優位性から評価したということよりも、民間事業者ならではのノウハウを生かしたサービスを公平性の観点から広域的に展開すべきと考えたところによるものです。
御答弁では、将来推計値はないと。指定管理館のコストは年々上がっているので、コストで優位性も認めているわけではないとの答弁でした。まず、区が将来推計もなく長期的な方針に指定管理館導入拡大を盛り込むことはリスクが高過ぎると思います。再考を求めます。
また、コストよりも民間のノウハウを期待し、導入拡大を示したとのことでした。これに関わって、素案ではパートナーシップ体制の考え方が示されています。指定管理館のノウハウがすばらしいから地域ごとにグループをつくり、指定管理館を一館配置して、指定管理館のノウハウを直営館へ共有してもらおうというものです。
指定管理館のノウハウを直営館に取り込むという構図は一見魅力的ですが、行政側のノウハウの蓄積を外部に依存化させるものではありませんか。図書館行政の役割である国民の知る権利を保障し、学習を支援することで人々の幸福な生活を支える責任、直営館の主導性、これをどのように考えているのか、伺います。
中央図書館をはじめとする直営館は図書館運営の中核を担うものでありまして、行政ならではの経験などから、公共性や専門性を担保するための大切なノウハウを蓄積しております。ですので、安易に外部に依存すべきでないというところは、こちらも強く認識しているところでございます。
方針の素案におきましては、直営館と指定管理館がそれぞれの特徴を補完し合い、交流や連携を進めることで切磋琢磨してお互いの機能強化を図っていくことで全体サービスの向上につなげることを目指しております。
その上で、中央図書館のサポート体制を整備しながら、直営館の主導の下で指定管理館との協力体制により地域ごとのサービスを展開していくことで、行政としてのノウハウの蓄積を図り、その責任を果たしてまいりたいと考えております。
区は、ノウハウを共有するためという理由で地域に一か所、指定館を設置しようとしているわけです。先ほど、他会派への答弁で小さなグループでの交流が効果的だとの趣旨の答弁がありました。例えば、砧地域には図書館が二つです。一館を指定館にしますと、それぞれの二館のところで、二館のみで情報共有を行うのでしょうか。狭い範囲での情報共有では効果的とは言えないのではないでしょうか。
もう既に図書館長会などの機会を活用した情報共有は行われております。様々な経験を共有できる場での交流のほうが効果的なのは明らかです。これは、ノウハウの共有を理由に指定館を増やす仕組みだと言わざるを得ません。以下二点、意見と提案を申し述べます。
一点目、これもこの間、主張してきましたけれども、図書館は利益を生む事業ではありません。事業者が利益を出すためには人件費を削るしかありません。その結果、官製ワーキングプアを増やすことになります。指定管理館の運営費は年々上がっており、以前のように経営的な視点で見ても魅力的でないばかりか、今後、リスクにもなり得ます。
社会状況が変化する中、将来推計も行わないままに長期的な方針に指定館を増やすことを盛り込むべきではありません。令和三年、図書館運営は直営が原則とした世田谷区立図書館運営体制あり方検討委員会報告書での到達に立ち返るべきだと考えます。一般質問で述べたように、世田谷区に求められている社会教育の推進など、本来の図書館の役割や居場所機能の福祉的な役割の充実を図るための運営体制は直営館が望ましいと考えます。以上の理由から、安易に指定管理館を増やす方針は見直すべきです。
二点目、図書館運営について、区民的な議論が必要であり、図書館運営協議会の場がこれに当たると思います。私どもは図書館運営協議会の設置を求め、区は設置してきました。さらに、指定管理館の運営について検証を行うことを求めてきましたが、いまだ行われていません。図書館運営協議会において、指定管理館の検証を進めることを求めます。
ここで伺います。図書館は、区民の知る権利、学ぶ権利、学ぶ機会を支える重要な公共インフラです。その運営を民間のノウハウ共有のために指定管理館を増やすのではなく、まずは行政責任を強く自覚し、直営の強化を軸とした持続可能な制度設計を進めるべきと考えます。行政の責任をどう捉えておられるのか、教育長に伺います。
区の行政責任という観点では、区立図書館の運営手法の違いにかかわらず、利用者にとって最善のサービスを提供することが最優先であると考えております。このため、今般お示しした運営方針素案において明らかにした区立図書館の現状やこれまでの実績、図書館運営協議会をはじめとする様々な御指摘や御意見を踏まえ、直営、指定管理それぞれの特色を最大限に生かす体制づくりこそが持続可能で効果的な運営につながると考えました。
今後の管理運営方針案の策定に当たっては、いただいた御意見を真摯に受け止め、公立図書館としてのサービス水準を中長期的に維持、向上できるよう、中央図書館を中核に、各館がこれまで以上に力を発揮できる運営体制をお示ししてまいります。
素案は、指定管理を増やすことありきの苦しい理由づけが多々見られました。素案の報告を初めて伺ったときに、明確な意図を持ったこの文書を教育委員会が出してきたことに、私自身ショックを受けたというのが正直な感想です。素案の再考を求めます。
次に、不登校対策について伺います。
子どもの生活実態調査により、不登校経験が多い属性は、ひとり親、困窮層という結果が明らかになりました。不登校の子どもがいる家庭ごと支える必要性があると考えます。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの役割が大きいと思います。不登校の子どもの家庭に必要な支援をつなげることを進めていただきたいと思っています。家庭のニーズ等についてもしっかりつかんで、不登校対策にしっかり生かしていただきたいと思っています。見解を伺います。
不登校児童生徒の状況というのは様々で、家庭環境について一くくりで見るということはできないというふうに考えております。一方、不登校の原因の中に、家庭の経済的な事情であったりで学習意欲が減退したという事例があることも認識しております。そういう意味でも、就学援助を含め、福祉的な支援施策について周知を徹底し、申請をいただく、そういったことが不登校児童生徒を支援するためにも重要と認識しております。
不登校児童生徒の状況を把握し、社会的な自立に向け、教育機会を確保するためにどのような施策が必要か、一人一人の状況を確認しながら、教育委員会と学校と一体となって取り組んでまいります。
NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが二〇二二年に行った不登校の子どもを持つ親六百四十人を対象にしたアンケート調査では、不登校をきっかけとして世帯収入が減ったと答えた割合が三一%でした。また、支出が増えたと答えた割合は約四割で、うち六八・一%が食費と答えていました。不登校の子どもがいる家庭では、不登校でなかったときと比べ収入が減り、支出が増えている現状が示されています。家庭丸ごとの支援が必要と考えます。
第二回定例会で、ほっとスクールでの昼食支援を求めましたが、ぜひこれは前向きな検討をしていただきたいということを強く求めて、質問者を替わります。