2025/03/17
日本共産党世田谷区議団の質疑を始めます。
私からは、まず、社会教育について伺います。
令和七年度当初予算は、区民が学び続ける環境の整備と参加と協働による地域全体での学びを進める「学習する都市」推進予算として編成されました。我が会派の代表質問への答弁で、区長は、あらゆる世代の区民がそれぞれの関心事や得意なことを学び、その知識や経験を地域社会に還元することは住民自治の発展に欠かせない。これは広い意味での社会教育、生涯学習とも言えるもので、区民同士、区民と区が共に学び合って、互いに支えあう心豊かな地域共生社会を目指すとし、参加と協働が基本となっていくものだと答弁されました。
この間、区は、地方分権の時代にふさわしい持続可能で自立した真の基礎自治体を目指すとして、自治権拡充に関する検討を進めてきました。地方分権の推進とは地方自治の実現を図っていくことであり、地方自治は民主主義の原点です。地方分権の推進に不可欠なのが地域内分権と住民自治です。この考えの下につくられたのが世田谷区独自の地域行政制度と認識しています。
地域内分権とは、住民に予算と権限を与え、地域の課題を住民自身が考え、自らの判断で解決に向けて取り組むことですが、住民自治が十分に機能している状態が前提となります。住民自治が発展していなければ地域内分権は成り立たず、これなしには地方分権の推進は難しいというか関係かと思います。
文部科学省生涯学習政策局社会教育課が発表した公民館の現状と課題によると、地方分権と住民自治を進める中での社会教育の役割は、行政と住民協働で個々の課題解決の取組を進める中で、知識、ノウハウ、アイデア等の学びが必要な部分や住民の意識、行動変容について支援することだと述べています。区が「学習する都市」推進予算と命名したのは、区がこうしたことを目指すためであろうと受け止めています。私どもは社会教育を推進することが住民自治を支え、民主主義の発展につながると考えており、社会教育のさらなる推進を求めるものです。
さて、ここで社会教育について区の計画ではどうなっているのかということについて伺ってまいります。
令和六年度からの世田谷区教育振興基本計画では、社会教育の充実という項目の重点取組みとして、地域団体からの相談に応じて、組織や活動の活性化、人材育成などに関することを支援します。学校を起点に保護者や町会・商店会、地域団体等が連携し、新たな活動を作り出す共創を実践できるよう、連携、協働の成功例となる団体をパネリストにしたシンポジウムを実施するなど、地域コミュニティーづくりに取り組みますとしています。残念なことに、この中に図書館の役割が提起されませんでした。ゆえに図書館ビジョンでは、生涯を通じた知や学び、課題解決支援等調査研究の支援などの取組が盛り込まれましたが、社会教育の文言は皆無です。
社会教育は、教育基本法第七条において「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。」、「国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。」としています。社会教育法では「図書館及び博物館は、社会教育のための機関とする。」としています。図書館法は、そもそも社会教育施設としての図書館について規定した法律です。世田谷区教育振興基本計画で社会教育の起点を学校のみに限定していること、図書館ビジョンに社会教育の文言が全くないというのはいかがなものかと言わざるを得ません。
社会教育の起点として図書館を位置づけ、図書館を中心とした社会教育を推進するべきではないかと考えます。見解を伺います。また、今後、社会教育行政は地域行政所管との連携も必要になってくるのではないかと考えていますが、いかがでしょうか、伺います。
持続可能な地域社会を実現するためには、区民が地域社会へ参加し、共に学び、学びの成果を還元できる生涯学習環境の整備が不可欠であると考えております。教育委員会や区では、図書館や博物館、体育施設などの社会教育施設を設置し、様々な事業を実施するなど社会教育の奨励に取り組んでおります。こうした社会教育を奨励し、学びを通して区民の地域社会への参加を促すことは、地域行政推進条例等の目的の一つでもあります住民自治の実現にもつながるものと考えております。教育委員会としましては、学校や図書館のみならず、区長部局とも連携しながら、区民の誰もがあらゆる機会、あらゆる場所を利用して、生涯にわたって学び続けられる環境づくりに努めてまいります。
さらなる社会教育の推進をお願いしたいというふうに思っております。
次に、図書館利用者懇談会について伺います。
まず、砧図書館利用者懇談会についてです。砧図書館利用者懇談会は、五十二年間の長きにわたり、地域で子どもと本に関わる活動をしてきた団体等と図書館が意見交換を行う場となってきました。世田谷区で唯一の利用者懇談会です。昨年の決算特別委員会では、砧図書館利用者懇談会が図書館側から利用者懇談会を離脱するとの表明をしたことをきっかけに閉会してしまったということの件について伺いました。
区は、砧図書館利用者懇談会について、地域活動団体の皆様からの意見などについてお伺いする場であり、これまで五十二年間、砧図書館の充実に貢献いただき、ありがたい存在であったと認識を示して、砧図書館利用者懇談会の閉会については、残念と感じ、申し訳なく考えているとの見解を述べました。その際に、砧図書館利用者懇談会の再開について、地域の声を見定めながら、地区の特性なども考慮し検証していくと答弁されましたけれども、その後の進捗を伺います。
砧図書館の利用者懇談会の閉会につきましては、委員御指摘のとおり、大変残念なことではありますが、懇談会に出席いただいたボランティア団体の皆様には、現在も砧図書館の事業に御協力をいただいておるところでございます。五十年以上にわたり、地域活動団体による図書館事業の意見交換の場であった利用者懇談会については、まずは砧図書館での来年度中の再開を目指して、広く関係者の皆様の御意見を伺ってまいります。
本当に残念なことですので、まだ皆さんは世田谷区の図書館のために働きたいというふうにお考えだと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
次に、他の区立図書館への利用者懇談会の展開について伺います。
砧図書館利用者懇談会の活動成果としては、司書の配置や本の増刷、団体貸出しセンターの設立などがあります。利用者懇談会の意義というのは、図書館を利用されている方々と直接懇談する場を持って、図書館業務への理解、日頃、図書館に対して思っていることや考えていることなどの意見を伺い、図書館サービスをよりよいものにしていくことにあると考えます。直接窓口で伺う声も含めて、利用者と共につくる図書館を目指していただきたいと思っております。
昨年の決算特別委員会での質疑では、砧図書館での事例を他の地域館等で展開できるか、地域の声を見定めながら特性なども考慮し検証していくとの答弁がありましたけれども、区立図書館のさらなる充実のためにも、他の区立図書館において、ぜひ地域に根づいた利用者懇談会の立ち上げに向けた支援を進めていただきたいと思っていますが、進捗のほうはいかがでしょうか。
小さなお子様向けのおはなし会や読み聞かせの会の開催など、地域活動団体との協働は、図書館運営においては欠かすことができません。今後は、図書館利用者をはじめ、地域住民や活動団体の皆様と様々な手法で積極的に対話する機会を設け、地域特性などを踏まえて、地域に根差したよりよい運営やサービスの改善に取り組んでまいります。
先ほど砧図書館の利用者懇談会の成果をお話ししましたが、司書の配置や本の増刷、団体貸出しセンターの設立など数多くありますが、現在、全ての区立図書館で誰もが享受できるサービスとなっています。この利用者懇談会の影響というのは、利用するものだけにとどまらず、地域の住民全体の利益となるものです。砧の経験は、参加と協働のよいモデルになっているというふうに思います。ぜひ経験を生かしていただきたいというふうに思っています。
現在、仮事務所にて運営中の奥沢図書館に関わる団体や利用者の皆さんが奥沢図書館の再開を求め運動されていますが、既に区は皆さんとの意見交換なども行っていると聞いています。こうしたことを核にして利用者懇談会の立ち上げの支援へと取り組んでいただきたいというふうに思います。学習する都市推進のためにも、社会教育の役割をしっかり果たせる魅力ある区立図書館の運営を進めていただくことをお願いしまして、質問者を替わります。