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令和7年 予算特別委員会 福祉保健委員会所管質疑

2025/03/12

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子どもの貧困対策について

たかじょう訓子 委員

 日本共産党の質疑を始めます。

 子どもの貧困対策についてです。子どもの貧困対策は、世田谷区子ども・若者総合計画案に内包する形で示されました。区は子どもの貧困対策を進めるために、前回、二〇一八年、小学校五年生と中学二年生を対象に生活実態調査を行い、今回、子ども・若者総合計画策定に当たり、二〇二三年、高校二年生を対象に生活実態調査を行いました。

 前回の調査で、生活困難層が小学五年生で一一・七%、中学二年生で一三・九%、今回、高校生では一五・四%が生活困難層であることが分かりました。前回の調査を行った小学五年生が現在高校一年生になっていますので、五年後の状況として比較可能であると考えます。そう見ると、小学校五年生で一一・七%だった生活困難層が、五年後に一五・四%まで広がったと捉えることができます。

 東京都が二〇二二年に実施した子どもの生活実態調査における生活困難層、困窮層と周辺層の足したものですね――の割合も、年齢が上がるごとに生活困難層が増えるという傾向がありました。教育や子育て費用の負担増からくるものかと思われます。

 二〇一八年の世田谷区の実態調査の詳細分析では、最も厳しい困窮層での貧困の連鎖は七割だと確認されましたが、生活困窮第一世代、つまり、親世代のときは余裕があったが現在は困窮している、そういう第一世代の状況も、そういった世代が生まれているという状況も確認されています。

 この間もコロナ禍、物価高騰によって社会は大きく変わり、貧困と格差が広がったと言われています。次期子どもの貧困対策計画を進めるに当たり、子どもの生活実態調査結果を踏まえた、より効果的な支援策を進めていただきたいと思っています。

 ここで伺います。コロナ禍や物価高騰が起こる中、実施された今回の生活実態調査結果を区はどう分析したのか、伺います。

瀬川 子ども家庭課長

 令和五年度の子どもの生活実態調査の結果から、新型コロナウイルス感染症拡大前に比べ収入が減った母親の割合は、一般層では約一割であるのに対し生活困難層では三割弱と、生活困難層ほど新型コロナウイルス感染症拡大前よりも収入が減っている世帯が多いことが分かりました。

 また、経済的な理由で保護者自身も必要なものや機会が制約されていることも明らかになりました。この調査結果等を踏まえ、改めて子どもの貧困は家庭の自己責任ではなく、社会全体で受け止めて取り組むべき課題であると認識し、子どものみならず保護者への支援、サービスの充実の必要性を認識しております。

 物価高騰による社会経済への影響がある中、子どもの健やかな育ちが家庭の経済状況に左右されることのないよう、子どもの貧困対策計画の柱の一つである経済負担の軽減のための支援として、今後、家計急変の家庭への支援の在り方を検討するなど充実を図ってまいります。

たかじょう訓子 委員

 この間、我が会派は、子どもの貧困対策を進めるに当たり、就学援助等の経済的支援、学習支援、住宅支援、食の支援等を求めてきました。区は就学援助の拡充、かるがもスタディールームや、せたゼミなどの学習支援、地域における多様な学習支援、生活困窮世帯等の子どもと家庭を支える学習・生活支援の拠点事業まいぷれいす、国のセーフティネット制度を活用した住宅費補助、制度のはざまにある児童養護施設退所者を対象とする給付型奨学金を実施し、さらに生活保護世帯から進学する若者へと拡充してきました。十二月の常任委員会ではさらに、三つの児童館における中学三年生から高校生への学習支援、高校を中退した子どもを対象にした高卒認定資格取得の支援も新たに開始するとしており、評価いたします。

 今回の生活実態調査から、前回と共通して困窮層ほど支援につながりにくい状況であるということが明らかになりました。区は現状、様々な支援メニューを有しており、今後も必要な施策が出てくると思います。必要な方に支援をつなげるためにどのような改善策を考えているのか伺います。

瀬川 子ども家庭課長

 令和五年度の子どもの生活実態調査の結果から、支援、サービスの利用意向はあったが実際には利用しなかった保護者の割合は、困窮層にて高くなる傾向があることは明らかになっています。この間、生活困窮時に利用できる支援、サービスを分かりやすく説明した子どもと家族の生活応援ブックの支援者への配布や、子どもの貧困対策推進フォーラムの実施等を通じて、支援者の気づきの感度の向上と連携強化を図ってまいりました。

 来年度からの子どもの貧困対策計画においても、要保護児童支援協議会や子ども・若者支援協議会、重層的支援会議の枠組みの活用や、子どもの貧困に関する研修を通じて支援者の各種施策に対する理解を促進し、顔が見える関係による多機関が連携した支援体制の強化に取り組んでまいります。

たかじょう訓子 委員

 ぜひ積極的にお願いいたします。

 経済協力開発機構、OECDによる世界のひとり親世帯の相対的貧困率ランキングでは、日本は母親の就労率が世界的に高いにもかかわらず、ひとり親世帯の貧困率が五〇・八%と、OECD加盟国三十三か国中ワーストワンです。世田谷区ひとり親家庭等アンケートでの年間の世帯の総収入についての問いのところでは、年間の総収入のうち、就労収入は二百万円から二百五十万円未満が一二・五%で最も高く、ゼロから五十万円未満、そして、続いて二百五十万円から三百万円未満と続いています。

 前回、二〇一八年度調査と比較しますと、二〇二三年度ではゼロから五十万円未満、これが七・七%だったのが、一一・三%へと増加して一割を超えていると。所得の低い方が増えているという状況だというふうに思います。

 区内においても、この間、子ども食堂を運営している方から、利用者の中でシングルマザーの貧困状態の悪化が顕著化しているため、ひとり親を対象としたフードパントリーも開始したと伺っています。

 また、中学生の子どもを育てるシングルマザーから、がんを患い、手術後仕事に復帰していますが、以前のようにフルでは働けない状況となっている。がんが再発するのではないか、子どもが自立するまで支えられるか、子どもの将来はどうなるかなど、考えたら不安で押しつぶされそうだとの声を伺っています。何とかしてこういった方を支えられないかと思うわけです。引き続き、ひとり親への支援の充実が必要と考えます。区の認識を伺います。

瀬川 子ども家庭課長

 ひとり親は仕事や家事を一手に担わざるを得ない状況であることから、万一自分が倒れたときの子どもの将来や、子どもの学力、進路等を心配している親も多く、こうした不安や悩みに応えていく必要があります。また、ひとり親家庭の親は家庭内に限らず地域にも相談できる相手がおらず、孤立しやすい傾向がございます。

 そのため、母子生活支援施設の多機能化の一環として、実質ひとり親の方を含む地域のひとり親家庭等に対する休日の相談支援や情報提供等を実施します。また、ひとり親家庭をはじめ、生活困難を抱える子どもや保護者が社会的に孤立せず、必要な情報を得て、適切な支援につながることができるように、当事者の視点に立った情報提供、アウトリーチ型支援やプッシュ型支援の体制強化を図ってまいります。

 こうした支援につながる仕組みづくりの強化により、子どもの現在及び将来が、その生まれ育った環境に左右されることがないように、子どもの貧困解消に向けて、子どもの権利を保障する切れ目のない子どもの貧困対策を推進してまいります。

たかじょう訓子 委員

 休日の相談支援や情報提供を実施するということで、これは大変重要だと思います。寄せられた相談の中に必要な支援策のヒントがあると考えます。今の制度ではカバーできないケースもあるかもしれません。それこそが制度の改善点と捉え、新たな支援事業へとバージョンアップすることにつなげていただくことを希望いたします。

たかじょう訓子 委員

 次に、子ども・若者総合計画第三期に内包する子どもの貧困対策計画において、今後のひとり親家庭の支援についてどのように進めていくのか伺います。

瀬川 子ども家庭課長

 ひとり親家庭は子育てと生計の役割を一人で担っていることから、日常生活や収入等、様々な面で困難に直面することがあると認識しています。特に、養育費については収入面での安定に資するものであることから、養育費相談会や、今年度から養育費の取決めに要する公正証書の作成費用等の助成に取り組んできました。

 令和七年度からは、さらに養育費の取決めをした後に、支払いの滞りなどで養育費を受け取ることができないひとり親家庭を対象に、支払いを求める手続費用の助成を行い、ひとり親家庭の生活安定に向けた支援を充実してまいります。また、家庭の経済状況にかかわらず、親子が多様な体験機会を得ることができるよう、ひとり親家庭への日帰り施設等の利用助成事業の助成金額を令和七年度から拡充してまいります。

 こうした取組の強化や拡充により、ひとり親家庭の悩みや不安に寄り添いながら必要な支援を行ってまいります。

たかじょう訓子 委員

 区は、生活保護受給世帯から進学する若者に対する給付型の奨学金を創設しました。今後、ひとり親家庭への拡充も検討するべきと考えます。見解を伺います。

瀬川 子ども家庭課長

 子どもが希望する進路の選択ができるよう、適切な支援をすることは重要であると認識しています。生活保護世帯から大学等に進学する若者のための給付型奨学金は、子どもが大学に進学すると生活保護の適用から外れ、出身世帯の保護費が減額となり、このことが、ひとり親家庭よりも低い大学進学率につながっているという、国の制度のはざまに着目したものになります。

 子どもの貧困対策としての給付型奨学金については、その規模からも基礎的自治体の独自の実施には限界があり、諸外国同様、国によるさらなる取組が重要であると考えています。国の修学支援新制度や、財団や企業等の民間の奨学金等の情報提供を通じて、高等教育の進学に向けた支援の充実を図ってまいります。

たかじょう訓子 委員

 ぜひ、この点について、ひとり親への拡充を今後も求めていきたいと思います。

北烏山地区会館跡施設利用について

たかじょう訓子 委員

 次に、企画総務領域の質疑に引き続き、北烏山地区会館跡施設利用について伺います。北烏山地区会館は廃止が決定しました。今後、跡施設を活用して重度障害者グループホームを今年八月に開設する予定です。現状エレベーターがありません。区からは新たなエレベーターの設置予定はないと伺いました。知的障害のグループホームを開設する予定だということで、問題はないというようなお話でしたけれども、グループホームは障害者の親亡き後の住まいとして期待されているわけですので、利用者の高齢化等にも対応しておくべきだと考えます。エレベーターの設置は必要と考えますが、区の見解を伺います。

堂馬 障害福祉部副参事

 令和八年八月に開設を目指しております北烏山地区会館跡施設のグループホームの整備におきましては、建物の構造上、エレベーターの設置が困難であるということを踏まえまして、知的障害の方を対象としているところでございます。
 委員お話しのように、ただ、入居中に歩行等が困難になる場合も想定されますので、事業者に対しては設備面も含めまして、施設内の階段の昇降時における利用者へのサポートや安全対策を講じるよう求めておりまして、必要に応じて一階の居室に移っていただく等の対応を想定してございます。また、グループホームは、ついの住みかというわけではございませんので、身体機能の低下が著しい場合は別のグループホームに移っていただくこともあると考えております。
 事業者には入居者が高齢化しても、その方の状況や希望に応じた適切な支援が行われるよう働きかけてまいります。

たかじょう訓子 委員

 今後、公共施設はユニバーサルデザインを目指すべきであると思いますので、今後検討もしていただきたいと思います。
 以上のことを述べまして私からの質問を終わります。

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