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令和5年 第3回定例会 代表質問

2023/09/20

質問項目

関東大震災百年、朝鮮人大虐殺の歴史について

たかじょう訓子 議員

日本共産党を代表して質問いたします。

関東大震災百年、朝鮮人大虐殺の歴史に向き合うことを求め、伺います。

関東大震災発生から九月一日で百年を迎えました。一九二三年九月一日、朝鮮人、社会主義者が井戸に毒を入れた、暴動を起こしているなどの無実無根のデマが流され、軍隊と警察に加え、民衆で組織した自警団により朝鮮人、中国人など六千名以上が虐殺されました。

当時、日本共産党は創立二年目。警察による社会主義者への弾圧が始まっており、震災の混乱に乗じて、被災者救援活動中の日本共産青年同盟委員長、川合義虎をはじめ労働組合の青年幹部など十名が亀戸警察署に連行され、軍隊の手で虐殺されました。

一九七三年以降、毎年九月一日に都立横網町公園で朝鮮人犠牲者を追悼する式典が行われています。これまで歴代都知事が追悼文を寄せていましたが、小池都知事は、就任翌年の二〇一七年以降、送付をやめてしまい、今年も行われませんでした。また、松野官房長官は、今年八月三十日の記者会見で、関東大震災当時に起きた虐殺について、政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらないと述べました。

これまで虐殺に関する真相究明は、多くの研究者、市民によって行われ、歴史学者の故姜徳相氏が国会内で発掘した関東大震災時の海軍公文備考や、同じく歴史学者の松尾章一氏が東京都立図書館で陸海軍資料を見つけるなど、虐殺が起こったということは認定されています。

政府が侵略戦争に無反省のまま植民地支配を正当化し、慰安婦問題で加害の事実を認めず、謝罪も賠償も行わないなどの行為に共通する歴史に向き合わない異常な姿勢が改めて浮き彫りになっています。史実を闇に葬って、特定の民族への差別、偏見、ヘイトスピーチを助長させることは恥ずべき行為です。

法政大学、槇蒼宇教授は、為政者の隠蔽体質や朝鮮人被害者の命を軽視する点で、当時と何も変わらないと述べています。こうした歴史を繰り返さないためには、歴史に向き合う必要があります。

一方、世田谷区は、この間、議会での議論があり、関東大震災百年の今年九月一日から三十日までの一か月間、世田谷区立平和資料館において「災害と平和」という企画展を実施しています。私どもも企画展を拝見しました。朝鮮人が襲ってくるという流言がどのように広がり、人々がどう動いたのか。太子堂、烏山で起こった朝鮮人虐殺事件を住民の証言資料などからひもといています。世田谷区は歴史にしっかりと向き合おうとしていると受け止めています。

この間、区長が述べられているように、後世に伝えていくためには、事実を調査、研究、記録していく必要があります。今回の企画展のさらなる充実と継続、また、区史編さんへの反映はもちろん、世田谷区が歴史に向き合うという姿勢を今後も貫くことが重要です。区長の認識を伺います。

保坂 区長

たかじょう議員にお答えをいたします。

関東大震災から百年、区内であった悲しむべき事態について、私の認識について御質問がございました。

関東大震災から、この九月一日で百年という節目を迎えています。この関東大震災の混乱の中で流言飛語が広がり、本世田谷区においても二か所で朝鮮人の方々が殺害をされ、犠牲となる事件があったということを忘れてはならないと考えております。

そこで、区では、震災発生の九月一日から今月末まで、「関東大震災百年から考える 災害と平和」と題し、平和資料館において、パネル展示を中心に、朝鮮人の方々が殺傷された事件について取り上げてきました。

また、区史編さんにつきましては、コロナ禍で一時中断をしておりましたが、昨年より編さん委員会を再開しておりまして、令和十年に向けて各委員会ごとに執筆が行われ、世田谷区史として刊行していく予定でございます。

今後も、区内で実際に起きた悲劇の教訓を次世代に語り継ぐため、機会を捉えて発信し、歴史を刻んでまいります。

避難所運営や在宅避難を支える区の役割について

たかじょう訓子 議員

次に、避難所運営や在宅避難を支える区の役割について伺います。

区は、昨年五月に明らかになった首都直下型地震等による東京の新たな被害想定を踏まえた指定避難所運営の見直し、在宅避難の推進と在宅避難支援の強化が必要として、この間、各避難所運営委員会の皆さんの協力の下、避難所運営マニュアルを見直してきました。

耐震性が確保された建物にお住まいの住民については在宅避難が基本であるということなどがいまだに知られておらず、いつ起きてもおかしくない災害への備えとして、避難所運営マニュアルを広く周知する必要があります。他自治体でも取り組んでいる避難所運営マニュアルの内容を解説する動画を作成し、ユーチューブなどで配信するなど工夫することを求めます。見解を伺います。

また、避難所体験は、災害のときにどう動くのか、どんな備えが必要なのかなど考えるよい機会となります。一部の地区では取り組まれていると聞いていますが、親子連れや小中学生を対象とした避難所でのお泊まり体験を積極的に実施することを求めます。見解を伺います。

この間、重症心身障害児(者)を守る会の方から、災害時の在宅避難に不安があるとのお話を伺っています。個人での備蓄は行います。しかし、足らなくなったときにどうすればよいのか。水を飲むのも、とろみ剤が必要な方や、ペースト状のものしか食べられないなど、障害の特質や個人によっても必要なものが違う。最悪、親がかんで食べさせなければならないと覚悟していると伺いました。当事者の声をよく聞いて、必要な対策を講じるべきです。障害者の在宅避難への支援について、現状と課題、区の取組を伺います。

大塚 危機管理部長

私からは、避難所運営と在宅避難について、三点御答弁申し上げます。

初めに、避難所運営マニュアルについてです。

区では、東京都の被害想定が見直されたことを契機として、指定避難所における密集回避と初動期における適切な運営を図るため、避難所運営委員会や被災地における避難所運営支援の経験や知見を持つ関係機関と意見交換しながら、避難所運営マニュアルの見直しに取り組んでまいりました。

見直しを行ったマニュアルは、各避難所運営委員会が独自のマニュアルを作成するときの参考としていただくものですが、マニュアルを動画により解説することは、視覚的にも理解を深められる有効な手法であると考えております。今後、工夫を凝らして、より分かりやすい動画の作成に取り組むとともに、地域、地区や将来を担う子どもたちの防災意識の醸成等につながるよう、広く発信してまいります。

次に、避難所での宿泊体験についてです。

宿泊を伴う避難所体験につきましては、従来行っている地域もあり、新型コロナウイルス感染症の影響により休止していたものの、再開する動きも見られているところです。この経験を通じて、快適とは言えない避難所生活をリアルに感じるきっかけとなる一方、自宅で継続して生活する在宅避難の啓発にもなる貴重な機会と捉えております。今後、地域、地区での宿泊体験の再開を後押しするとともに、親子や小中学生がより参加しやすい効果的な実施方法を提案するなど、総合支所やまちづくりセンター、関係機関等と連携し、地域や団体への支援に努めてまいります。

最後に、障害者の在宅避難についてです。

在宅避難者につきましては、一人最低三日分以上、できれば一週間分の備蓄を推奨していることから、国やボランティア団体等からの支援物資が避難所に届いた後の発災後おおむね四日以降に物資の配布を開始するものとしております。

流動食などの障害者に配慮した食料につきましては、国等から支援を受ける際に調整し、確保に努めることになると想定しております。また、避難所での物資の受け取りが難しい障害者につきましては、配送を担う支援者を確保するなど、具体な手段を想定していく必要がございます。これらの課題につきまして、在宅避難を選択する障害者に確実に物資の提供ができるよう、庁内関係部署や関係機関とも連携し、当事者の声もお聞きしながら、具体の取組を検討してまいります。

私からは以上です。

物価高騰から区民の暮らしを守る取組について

たかじょう訓子 議員

次に、物価高騰から区民の暮らしを守る取組について伺います。

円安、物価高騰により、いよいよ国民の暮らしは困難な状況に陥っています。六月に続き十月からも電気代の値上げ、ガソリン価格は史上最高の値をつけており、消費者物価指数は四十二年前の第二次オイルショックの水準です。一方、厚生労働省が九月八日に発表した七月の毎月勤労統計調査によると、実質で前年同月比マイナス二・五%、マイナスは十六か月連続です。物価高の勢いに賃金の伸びが追いついていません。また、十月から導入予定のインボイス制度は、区内小規模事業者やフリーランスなどを廃業に追い込みかねないものです。日本共産党は、物価高騰に見合った賃上げを行うこと、インボイス制度導入を中止し、消費税の減税を行うことを財源も示しながら提案しています。

一方、岸田政権は五年間に四十三兆円をつぎ込む軍備の拡大を進め、そのための財源確保として増税も行うとしています。

九月十一日に、経団連が少子化対策を含む社会保障全体の財源として、消費税の引上げが有力な選択肢の一つと提案したことが報道されましたが、これに対し、とんでもない提言だ。物価高騰の折、国民の生活はますます苦しくなる。国民の生活を苦しくすることが少子化対策になるのかなど、多くの国民から怒りの声が上がりました。これ以上の家計への負担は貧困と格差を広げ、子育て支援も打ち消されてしまいます。あまりにも国民の声が届かない政治が横行することへのやり切れない不満と批判が広がっています。

世田谷区においては、第二回定例会の後、区長が区長会においてインボイス制度導入について区内事業者の声をしっかり届ける文書発言をしていただいたことは重要です。この間、区は、区民の暮らしの実態が困難との認識を示しています。区民の命と健康、暮らしを守るため、以下三点について伺います。

一つ目は、物価高騰対策の給付金の支給対象を広げることです。この間、課税世帯の低所得者の方からも、電気代が心配でエアコンを使えない、食事も一日二食に減らしているなど、切実な声が寄せられています。これまで行ってきた物価高騰対策給付金は、生活保護、住民税非課税世帯、ひとり親世帯と限定されてきました。住民税所得割ゼロ世帯に広げた支援を行うことも求めます。

二つ目は、学校給食についてです。給食の無償継続はもちろん、今年度、給食無償の対象となっていなかったアレルギー等によるお弁当持参者への補助を行うこと、さらに、学校栄養士の話では、食材費の高騰で給食の品数を減らしたり、魚の切り身を小さくしたりしなければならないなどの状況が生じていると伺っています。給食予算の増額を早急に行うべきです。また、この間求めてきた不登校特例校への給食開始について、進捗状況を伺います。

三つ目は、国民健康保険均等割保険料についてです。この間繰り返し求めてきましたが、区独自に子どもの軽減対象を広げること、低所得者に対して軽減を行うことを求めます。
以上、三点について区の見解を伺います。

中村 副区長 

学校給食費無償化について御答弁いたします。

学校給食費の無償化は、エネルギー価格、物価高騰対策として、学齢期の子どもがいる保護者の負担軽減を目的に、令和五年度に区立小中学校の児童生徒を対象に実施をしております。

現在、無償化の継続に関して、これまでの就学援助の予算のほかに、追加で必要となる約二十億円の財源確保の方策とともに、令和六年度以降の物価や賃金などの社会経済状況の見通しに加えて、少子化対策としての経済的支援や義務教育無償化の第一歩としての意義について検討を進めているところです。

今後、令和六年度予算の編成状況やその後の財政見通しを踏まえて、方針が固まり次第、速やかに議会にお示ししてまいります。

以上です。

田中 保健福祉政策部長

私からは、区民の暮らしを守ることについて、関連二点、まずは給付金についてです。

現在、物価高騰対策として、国では、電気・ガス価格激変緩和措置による電気・ガス料金の値引き支援を十二月使用分まで継続することとなっており、東京都でも、七月から九月分のLPガス料金の値引き支援が行われております。

区では、住民税非課税世帯や家計急変世帯への三万円の価格高騰重点支援給付金支給や、せたがやPayを活用した還元率拡充など、物価高騰対策を実施してきました。そのほか、さらなる給付金などの補助は、経済状況を見極めて慎重な検討が必要と考えています。

ぷらっとホーム世田谷では、引き続き、生活全般のお困り事を丁寧に聞き取り、各種の支払いが困難な方には、家計改善支援員が家計の見直しや滞納状況を整理し、今後の支払い計画を立てることや必要に応じて就労支援等を行うなど、個々の御希望や課題に応じて寄り添った支援を行ってまいります。

次に、国保関連についてです。

低所得者の負担軽減については、均等割保険料の七割、五割、二割の軽減制度を四割弱の方に適用しております。昨年度から就学前を対象とした均等割五割軽減が実現しましたが、次元の異なる少子化対策が掲げられる中、なお不十分であると考えております。

国保は国が責任を持って対応すべきものとの考えから、子育て世帯の経済的負担を軽減するために、均等割保険料の軽減対象を未就学児から拡大することとともに、公費による軽減割合も拡大すること、また、低所得者の負担軽減を図るために、所得割の比率を引き上げることなど、特別区長会を通じて国に要望してまいります。

区では、この間の経緯や国の見解も踏まえ、財源の確保や仕組みなどの課題を整理するとともに、区民生活が厳しい中、国保料の区民負担が急増しないよう、運営に努めてまいります。

私からは以上です。

知久 教育政策・生涯学習部長

私からは、学校給食に関して三点お答えいたします。

まず、学校給食費無償化の継続に合わせ、アレルギー等による弁当持参者への補助を求めるについてでございます。

教育委員会の調べでは、御指摘のアレルギーや宗教上の理由により給食を喫食することができず、日々、家庭から弁当を持参し、給食の提供も受けていない完全弁当持参者は、令和五年五月現在で四十九名おります。また、弁当を持参し、牛乳の提供を受けている児童生徒は二十二名いることを把握しております。このような児童生徒への支援については、無償化の継続に合わせて検討すべき課題であると認識しており、必要な支援などの対応を検討してまいります。

次に、不登校特例校ねいろへの給食配送の検討状況です。

不登校特例校分教室ねいろについては、令和四年四月の開設から給食の提供は行っておらず、家庭からの弁当持参をお願いしていることから、かかる食材費等について家庭の負担となっていることを認識しております。

教育委員会といたしましては、令和五年度の学校給食無償化の実施判断に合わせ、不登校の児童生徒への対応として、ねいろについて太子堂調理場から給食を配送できるよう、これまで検討を進めてきております。

ねいろでの学校給食の実施に当たりましては、既存施設の改修による必要な設備の整備や人員体制の確保、配送時間の調整などの課題がございますが、来年度中の太子堂調理場からの給食配送開始に向けて、予算の確保も含め、調整を進めているところでございます。

最後に、物価高騰に見合った給食費予算を確保すべきについてお答えいたします。

区では、高騰する食材費への対応として、令和四年六月分の学校給食から給食費単価の一〇%相当分を上乗せし、その上乗せ分を公費負担しており、令和五年度については、上乗せ分を含めて給食費の無償化を実施しております。今年度に入り、日々の給食で提供している牛乳の一本当たりの価格が五円上がったほか、天候不順による野菜の高騰などもあり、食材費の動向を注視してきております。

今後、各学校での食材費にかかる支出状況や学校栄養士に食材調達やメニュー作成への影響などを確認し、追加の支援が必要か検討してまいります。

私からは以上でございます。

本庁舎整備の工期延伸について

たかじょう訓子 議員

次に、本庁舎整備の工期延伸についてです。

本庁舎整備の工期延伸について、この間、工程検証委員会が開催され、大成建設から、そもそも入札時の技術提案として示された工程表が検討不足であったことが明らかになりました。

工期の延伸については、大成建設に全面的に責任があります。工期の遅れは区民の利益を損なうものであり、違約金、損害賠償について適切な補償を求めていただきたい。見解を伺います。

また、本庁舎整備に関わる下請事業者にしわ寄せがあってはなりません。区は、労働環境や適切な報酬などが保障されるようチェックしていただきたい。見解を伺います。

岩本 副区長

私からは、本庁舎等整備の工期延伸について適切な補償を求めよとの御指摘について御答弁申し上げます。

現在、区は、本庁舎等整備工事のⅠ期工事の遅延に関し、契約書等に基づき、工程延伸に伴う遅延違約金、また入札時の技術提案不履行に伴う違約金、併せて、工期延長に伴い、区及び区民に生じた損害の賠償を求めています。

区及び区民に発生する損害としては、追加の工事監理料や二期及び三期の完成時まで仮庁舎として利用する建物の賃貸借料といったもののほか、新庁舎や区民会館での区民の活動機会の逸失といった十分に計算されていない部分での損害も見込まれます。

このたびの遅延については、大成建設は自社の責任であると全面的に認めているところですが、着工後二年経過した時点での受注者側の検討不足を原因とした二年近くの工期延伸は、区が知る限り、公共建築物では前例のないことであり、区といたしましては、大成建設に対して引き続き誠実な対応を強く求め、協議を進めてまいります。

佐藤 庁舎整備担当部長

私からは、本庁舎等整備の工期延伸に関し、協力事業者へのしわ寄せがあってはならないとの御質問に答弁いたします。

御指摘のとおり、本庁舎等整備工事には多くの協力事業者が関わっており、区では、着工当初より、大成建設に対し、建設物価上昇の影響があった協力事業者に対する適切な支払いについて要請してまいりました。

特に建設物価上昇に伴う大成建設とのスライド協議において、大幅遅延が判明した令和五年五月以降は、国のマニュアルに基づき、施工者の責による工程遅延分を増額対象から外す対応を取っていますが、大成建設からは、今後の物価変動を含め、協力事業者にしわ寄せを生じさせないよう適切に対応するとの回答を得ているところです。

引き続き、大成建設と協力事業者との契約状況を注視し、全ての工事関係者が健全な状態で働ける体制の構築と適正な労働条件の確保に努めてまいります。

以上でございます。

次期世田谷区基本計画素案について

たかじょう訓子 議員

次に、次期世田谷区基本計画素案について伺います。

今般、令和六年度からの次期基本計画素案が示されました。現在、パブリックコメントを募集しています。区議団が補強すべきと考える三点について伺います。

一つ目は、低所得者への配慮の視点についてです。この間、世田谷区未来つながるプランにも、行政改革の場面においても低所得者への配慮の視点が貫かれてきました。今、引き続くコロナや物価高騰などによる区民生活が困難になる中、さらにこの視点は重要となっています。現状として、区は、区民の生活が困難な状況であることの認識を示していますが、政策への打ち出しが乏しい状況です。具体の低所得者や困難を極める事業者への施策の打ち出しを求めます。

二つ目は、高齢者、障害者福祉の位置づけについてです。ひとり暮らしの高齢者の増が見込まれる中、さらなる介護サービスの充実が求められると同時に、障害者が尊厳を持って生きていける環境整備は喫緊の課題です。現基本計画では、重点政策の二つ目に、高齢者、障害者への施策を位置づけています。しかし、次期基本計画素案では、重点政策の四、誰もが取り残されることなく生き生きと暮らせるための支援の強化の項目で、高齢者、障害者の抱える問題をコミュニティー醸成で解決していくかのような表現となっています。高齢者や障害者の介護サービスの充実や環境整備の記述など、福祉の増進への公的役割の記述がありません。次期基本計画でも福祉施策が後退することのないよう、今計画同様、重点政策に高齢者、障害者福祉を位置づけることを求めます。

三つ目は、地域行政制度の意義や目的を踏まえた区政運営についてです。基本方針、三、地域行政の基本となる考え方では、地域行政制度である三層制の下、まちづくりセンターは区民生活を包括的に支援する地区の行政拠点として、総合支所は地域経営を担う拠点として、区民生活を支え、区民主体のまちづくりを支援し、本庁は地域行政制度の意義や目的を踏まえた区政に取り組みますと述べています。どの分野でも、どの施策においても貫かれることが重要と考えます。さらに、区民主体のまちづくりを進めるのであれば、区民が意見を述べ、区に提案できる仕組みや場づくりにおいて、区が公的な役割を果たすことを求めます。

以上、三点について、区の見解を伺います。

保坂 区長

次に、世田谷区基本計画素案について、三点まとめて答弁をさせていただきます。

次期基本計画素案では、計画の理念の一つに、区民の生命と健康を守るということを位置づけています。子どもや若者から高齢者まで誰もが生命や健康を守られ、元気に自分らしく生きていける社会の実現に向け、医療、保育、教育などにおけるベーシックサービスを堅持することにしており、身体的な健康のみならず、心の健康につながる心の豊かさなどの視点にも配慮することとしています。これらに基づきまして、今般の区民や区内事業者を取り巻く厳しい状況を踏まえた必要な取組を進めてまいります。

次に、事業者支援について、重点政策の一つに、安全で魅力的な街づくりと産業連関による新たな価値の創出を位置づけ、既存産業の振興やビジネスの場として魅力的な環境の整備といった取組の方向性をお示ししています。

分野別政策において、持続可能な地域経済の実現を掲げています。地域の事業者が安心して継続的に事業を営むことができる環境や、区民の生活に必要な産業が円滑に引き継がれていく環境など、地域経済の発展に欠かせない多様な事業者の事業活動の基盤となる経済産業の環境整備に取り組んでまいります。

さらに、ひとり暮らし高齢者が増加をしていくとともに、社会的な孤立や孤独が深刻な社会問題となる中、誰もが地域とつながりながら安心して暮らせる地域づくりは喫緊の課題だと認識しています。

とりわけ高齢者や障害者の支援について、重点政策の一つに、誰もが取り残されることなく生き生きと暮らせるための支援の強化を位置づけ、困難や生きづらさを抱えている人たちに支援が届く取組や仕組みの構築を目指すことを方向性として盛り込んでいるほか、分野別政策においては、福祉につながるネットワークの強化や地域福祉の推進と基盤整備を掲げています。身近な福祉相談の充実や地区でつながり続ける支援体制の構築をはじめ、住宅確保要配慮者への入居支援や多様な住まいの適切な供給、精神障害者や医療的ケア児者をはじめとした障害のある方々への支援施策、認知症や障害、ひきこもり状態にある方等が安心して暮らし続けられるための地域づくり、医療機関と介護事業所との連携促進などに着実に取り組んでまいります。

地域行政については、自治の担い手として地域の課題解決に取り組む区民や団体が区政に参加し、互いに協力して自治を進めることで一層の地域行政の深化、発展が図られると考えており、参加と協働を一層推進していくことが重要だと認識しています。

計画の理念の一つに、参加と協働を区政運営の基盤とすることを掲げており、多様な主体との連携、協働といった視点を重視し、区民、事業者、行政が出会い、つながる機会の場の創出を図るなど、区として必要な役割を果たしながら、参加と協働のさらなる発展を目指してまいります。

公共施設等総合管理計画について

たかじょう訓子 議員

次に、公共施設等総合管理計画について伺います。

参加と協働をさらに進める観点から伺います。

この間、ふじみ荘、北烏山地区会館、羽根木区民集会所について、利用率が低いことを理由に、用途転換、廃止などが行われてきました。区長に対し、多くの区民から廃止に反対する署名が寄せられました。参加と協働の方針を生かすためには、政策決定前の住民合意の努力が前提です。見解を伺います。

次に、地域行政推進条例の趣旨に即した計画の見直しを求め、伺います。
公共施設等総合管理計画では、地区会館は、半径五百メートルを利用圏域として各地域に配置していると記載されています。半径五百メートルとは、歩いて行ける距離です。これは三十二年前に始まった地域行政制度の考え方を踏襲しており、昨年度、施行した地域行政推進条例の中でも、第七条で、まちづくりセンターは、まちづくりに係る学習の機会の提供、活動の場の確保、情報発信等に関する支援の強化を図ることとすると記載されました。

一方、公共施設等総合管理計画の重点方針三では、区民利用施設について、新公会計制度を活用したフルコストや利用状況、近隣の施設需要などを分析し、利用率の低い施設について、必要に応じ複合化や用途転換を図ると記載されています。利用率が低いことを理由に他の施設との統廃合や用途転換が行われれば、区民の学ぶ機会や活動の場は保障されません。

地区会館など区民集会施設の存続を利用率によって決める方針は、地域行政制度の趣旨と矛盾するものです。公共施設等総合管理計画の見直しに当たって、方針を改めるべきです。見解を伺います。

有馬 政策経営部長

私からは、公共施設について二点お答えいたします。

まず初めに、利用率が低いことを理由とした用途転換や廃止に関わる政策決定前の住民合意についてでございます。

区は、福祉施設や区民利用施設をはじめとする公共施設を多くの区民の方々に有効活用していただくために、既存施設の保全状況や利用状況、その地域や地区の抱える課題や新たに求められる施設機能などを総合的に勘案し、統廃合や用途転換を含め、区として必要な方針を定める必要があると考えております。

地域や地区の課題を把握するため、昨年策定いたしました地域行政推進計画においても、各支所まちづくりセンターにおいてワークショップやタウンミーティングの実施を明記しており、現在も車座集会を実施し、タウンミーティングも予定しておりますが、これまで以上に地域や地区の生の声を聞いてまいります。

今年度中に、施設の状況や利用率を含め、地域や地区での様々な区民の方の活動が活性化する視点から、改めて公共施設の活用方針を定めるとともに、施設の統廃合や用途転換を行う際には、区民に丁寧に説明してまいります。

続きまして、地区会館など区民集会施設の存続を利用率によって決める方針についてお答えいたします。

今後、多くの公共施設が一般的に更新の目安となる六十五年を迎える一方で、求められる施設の機能はますます増加する傾向にあることから、これまで以上に効率的で効果的な施設の利活用を進める必要がございます。地区会館を含めた区民利用施設についても、利用率などの客観的な視点から検証を行い、地域行政の基本的な考え方となる地域住民が継続して交流できる機会や場所を確保し、コミュニティーづくりと区民参加を推進することにつなげることが重要だと考えております。

引き続き、自治の担い手である幅広い世代の区民が地域、地区で交流できる場所を確保するとともに、地域福祉の充実の観点から、地域、地区の実態を踏まえた施設機能の充実を推進してまいります。

以上でございます。

公社祖師谷住宅の建て替え計画について

たかじょう訓子 議員

最後に、公社祖師谷住宅の建て替え計画について伺います。

九月八日、九日に祖師谷住宅建て替えに向け、住宅供給公社による説明会が行われました。工事は四期に分けて行われ、来年六月から始まる一期工事部分の建物の除却から始まり、四期部分の竣工が令和二十年と、十四年にもわたる長期の工事になることなどが説明されました。周辺住民が多数参加され、九階建ての部分に面した住民の方からは、圧迫感を感じる、ビル風が心配、建物の光と音の反射が心配などが寄せられました。住宅供給公社には、こうした声にしっかりと向き合っていただく必要があります。

特に、以下二点について伺います。

一つ目は、この間、祖師谷二丁目地区地区計画策定の際にも議論になったケヤキ並木の保全や敷地の豊かな緑の保全をしてほしいとの要望についてです。地区計画、みどりの基本条例等々の立場からやむを得ず伐採する場合でも、同等以上の新植をとの指導を強めていただきたい。土があり、大きな木の木陰がある。地域にとっても貴重な土と緑の空間が祖師谷住宅の魅力です。近隣の子どもたちにとっても貴重な遊び場になっていると伺いました。この魅力を継承していただきたい。

二つ目は、工事期間の安全確保です。工事期間の十四年間、近隣の住宅地の道路を含め、敷地内にある保育所に接する道を工事車両が行き来することになります。通園時に安全が十分に確保されるのか。周辺住民への影響など、不安と心配の声が寄せられています。歩道を十分に確保するなど、工事期間の安全確保を求めます。

以上、二点についての区の見解を伺います。

畝目 砧総合支所長

私からは、祖師谷住宅の建て替えに関しての二点について、併せての御答弁です。

祖師谷住宅は、みどりの基本計画において、団地建て替えに合わせた緑の保全、創出に取り組むこととしており、本年二月に策定した祖師谷二丁目地区地区計画におきましても、緑豊かな市街地の形成を目標としてございます。

先般、九月八日と九日に東京都住宅供給公社が開催した建て替え計画に関する説明会では、地上部緑化率は三六%以上を確保すること、可能な限り緑の保全に努め、困難な場合には移植や植樹をしていく旨の説明がなされました。工事期間中の安全確保については、施工業者が決まり次第説明すること、また、参加者からは、交通量の増加や区域内の保育園登園時の安全性等に関する意見があり、公社はこうした意見を建て替え計画に反映させていくものと考えてございます。

区といたしましては、公社に対し、樹木の保全やそれを上回る新たな植樹、また歩道等を確保した安全対策について、丁寧に誠意を持って対応し、取り組むよう申し入れるとともに、地区計画や関連法令等に基づき、魅力を継承できるよう、しっかりと御協議、指導を行ってまいります。

以上です。

たかじょう訓子 議員

ありがとうございました。

再質問ではないんですが、祖師谷住宅について意見を述べさせていただきたいというふうに思います。

あの地域、地区というか、あそこは土がたくさんあるという状況です。雨が降って蒸発するときに熱を奪いますから、涼しいという状況が生まれます。これは祖師谷住宅だけじゃなくて、周りの地域にも大きな影響があったのではないかというふうに私は思っています。そういった意味でも、ここの自然、樹木など、土の質についても、ぜひ要望していただきたいというふうに思っております。

続きは決算委員会で質問をしていきたいというふうに思います。ありがとうございました。

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