2023/03/10
日本共産党世田谷区議団の質疑を始めます。
まず、事業者支援についてです。
私がよく利用する烏山駅近くのケーキ店のバナナクレープが、一年前は三百三十円だったと記憶していますけれども、現在、五百円に価格が上がりました。オーナーからは、自宅店舗で扱うケーキもあるが、七割をデパートなどに卸している、この間の原材料価格の高騰、特に生クリームの高騰が激しく、昨年から何回か値上げをせざるを得ない状況だったと。今後、生クリームの値上げが予定されている中、卸先に切られるのではないかと不安で値上げを言い出せない、価格に転嫁するのも限界だというふうに伺いました。三年に及ぶコロナ禍に、円安と物価高騰が中小企業の経営と暮らしを圧迫しており、価格、単価の見直しや経費削減など必死の努力にもかかわらず、利益が減少し、苦難が広がっています。
しかし、こんなときに区は、来年度予算で中小企業者経営支援費を今年度比で八千八百万円削減しました。この今の大きな痛手を負っている事業者に対し、新たな支援を打ち出すことなく予算を削減、どうしてこのような予算になったのか伺います。
五年度当初予算において、お話しの中小企業者経営支援という予算事業ですけれども、八千八百万円減額になっておりますが、この予算事業は主に融資あっせんの利子補給と信用保証料補助の予算なんですけれども、こちらは新型コロナウイルス対策緊急融資を今年度末で終了いたしますので、来年度予算がおおよそその分、減額になっております。
ただ、事業者支援の予算全体で見たときには、例えば地域連携型ハンズオン支援事業だとか、産業振興公社で行う中小企業向けの経営支援コーディネーター派遣事業だとか、せたがやPayによる消費喚起事業など、当初予算ベースでは令和四年度よりも増額しておりまして、予算の配分を変更したという側面もございます。
また、国、都の特定財源がまだ明確になっていないことから、特定財源を主に充てて行っている物価高騰対策に関しては、年度前半の予算を当面計上させていただいているといった事情もございます。
中小企業の経営状況がなお厳しい状況にあるので、そこは認識しておりますので、今後も事業者の経営状況の把握に努め、国、都の特定財源を注視しながら、五年度後半の取組について、必要な事業者支援策を展開できるよう、今後も検討を進めてまいります。
令和五年度後半と言わずに、時期を逸することなく、補正予算などでぜひ対応していただきたいというふうに思っております。
ちょっと確認なんですけれども、ゼロ金利融資が三月いっぱいで中止になりますけれども、これは理由としては、どういうことでこの時期に中止というふうになったのか、ちょっと伺います。
新型コロナウイルス対策緊急融資につきましては、この間も需要がずっとあったんですけれども、徐々に新規需要は減ってきているという状況にあります。
また、コロナ禍のときには、そもそも需要自体が完全に停滞していたので、その間をつないでいくための当面の手元資金を供給するというような側面もあったんですけれども、まだ完全にではないですが、需要が回復してきていると。
本業が回ってきているというところだと、通常の運転資金についてはこれまである制度融資を利用していただくということで、金利ゼロの当面需要が停滞している間つないでいくという融資については、一旦ここで終了するという判断をしたものでございます。その代わりに事業の立て直し策だとか、消費の喚起による需要の底上げといったところに予算を配分していく、そのような判断をしたものです。
事業者の方にお話を伺うと、事業資金には困っていますが、金融機関には融資を断られていると、こうした声を多数伺っています。つまり、あまりにも経営が困難な状況で、融資ができないという判断を下されている方が大変多いという実態が私の聞き取りの中では見えています。事業者への必要な支援を行うためにも、世田谷区内の事業者の実態把握が不可欠であって、私どももこの間、求めてきました。
区も実態調査を行うとしてきましたけれども、いつ、どのように行うのか。また、その際に、データを収集するだけでなく、区が訪問して事業者に直接実情を伺っていくことが必要じゃないかというふうに思っております。現れた現象の背景などをしっかりつかんで、政策策定に生かしていただきたいというふうに思います。見解を伺います。
区内事業者の経営状況やニーズ、課題等を数値及び生の声として把握することは、政策の企画立案に際して極めて重要と考えてございます。
区では、本年三月より地域経済の持続可能な発展を目指す会議を立ち上げ、地域経済の状況を踏まえた今後の方向性や具体的取組等について議論を開始する予定ですが、議論に当たりましては、今後、区内事業者の実態に関するアンケート調査の実施、これは今現在、準備を進めておりますので、年度明けのできるだけ早いタイミングでアンケート調査を実施するとともに、産業団体や個々の事業者の生の声も収集し、これらの内容も踏まえて、会議での議論及び政策の企画立案に生かしてまいりたいと考えております。
ぜひよろしくお願いいたします。
次に、さらなる事業者への支援についてです。
この間、せたがやPayのポイント還元キャンペーンにより、多くの飲食店や物販店、サービス業など個店の方々から、売上げが上昇したとの喜びの声を伺ってきました。消費喚起策、個店支援として評価します。しかし、対象が限定的であることや、顧客が事業者という場合は活用できないなど、課題がありました。こうした事業者への支援を検討するべきではないかと考えておりますが、見解を伺います。
せたがやPayで、事業者がお店で、消費者の方から支払われたせたがやPayの残高で、例えば食材だとか、お酒だとか、物品等の仕入れができるような事業者間決済の機能というのを今年度中に実装すると商店街振興組合連合会のほうから聞いております。これによって区内での仕入れの拡大につながることで、区内での経済の循環が進んで、持続可能な地域経済が推進するものと期待しているところです。
ただし、この機能については、資金移動の見せ方など、資金決済法にきちんとのっとっているとシステム上で運用する必要がありますので、現在その点を調整しております。そこは商店街振興組合連合会ともきちんと確認、整理した上で、来年度の早い段階で実際に事業者さんに使っていただけるように進めていきたいと考えております。
今まで利用が難しかった事業者へ支援が広がることを期待いたします。また、実態調査や事業者への聞き取り、それから総合経営相談などの内容から分析し、政策立案につなげていただきたいというふうに思っております。
次に、高齢者の居場所について伺います。
区は、区立老人休養ホームふじみ荘を廃止して、併せて身近なところで高齢者が気軽に訪れ、くつろげる居場所づくりに取り組むとしてきました。高齢者の居場所づくりの進捗を伺います。
区では、現在、三つの地域において、高齢者が気軽に訪れ、くつろげる居場所づくりに取り組んでおります。世田谷地域にあるひだまり友遊会館では、とまり木ステーションとしてイートインスペースを開放するほか、折り紙や絵手紙、スマホ講座を定期的に開催しています。
また、砧地域にある千歳温水プール健康運動室では、入浴やカラオケを楽しんだり、囲碁講座やマッサージなどの多様な参加型プログラムに参加することもできます。北沢地域にある代田地区会館では、ロビーをふらり代田として整備しまして、和紙を用いた指トレーニングや、デジタルライフを楽しむために毎月テーマを決めて語り合うサロン風ITカフェなどを開催しています。
また、併設する陶芸教室では、月二回、予約せずに気軽に参加できる陶芸プログラムも用意しております。この三か所で実施している参加型プログラムには、十二月までに千人を超える方が参加し、大変好評をいただいております。来年度も引き続き実施する予定となっております。
ありがとうございます。高齢者の居場所というのは、やはり気軽に歩いて行ける距離につくることが必要だというふうに考えております。今、区内三か所でやっているというお話でした。ぜひこれを広げる必要があるんではないかなというふうに思っています。
今、子ども分野で、親子の集いの場、おでかけひろばを区内に八十か所つくることを区は目指していますけれども、高齢者でも同様に身近な場所にあるという状況が望ましいと考えます。まずは地域に一つずつつくるということで今やっていただいておりますけれども、次は地区展開へとさらに発展させる必要があるのではないかというふうに思います。見解を伺います。
区では、まずは五つの地域にくつろげるスペースがあり、また、参加型プログラムが体験できる居場所を整備することとして取り組んでおり、現在、世田谷、北沢、砧の三地域で事業を実施しております。
また、来年度は烏山地域の寺町区民集会所に、令和七年度には玉川地域に整備する予定の高齢者施設に設けられる地域交流スペースを活用し居場所を設置する予定であり、現在、寺町区民集会所の事業開始に向け、具体的内容を委託事業者と詰めているところです。
今後の身近な地区での居場所については、十二月に行った三地域の居場所プログラムの参加者へのアンケート結果を基に事業の検証を行い、今後の展開に向け、総合支所や高齢福祉部などの関連所管と連携し、具体の検討を進めてまいります。
高齢者が歩いて行ける身近な場所の居場所づくりをぜひ進めていただきたいというふうに思います。また、烏山では、高齢者を中心に多世代の交流もできる場を検討しているということで、期待をしております。
次に、高齢者の居場所の運営について伺います。
高齢者の居場所の運営については、事業者の確保など課題があるというふうに伺っています。今後、身近な場所の居場所づくりが進めば、さらに困難になる可能性があります。ふじみ荘が高齢者に喜ばれていたのは、高齢者が気軽に集まれる場所があって、特にプログラムがなくても、そこに行けば誰かがいて、緩やかなコミュニティーをつくっていたことだというふうにふじみ荘の利用者の方に伺ってきました。高齢者の居場所で、お客ではなく運営主体となる自由度を持ったやり方も非常に有効と考えます。住民の居場所運営への参画について、区の認識を伺います。
来年度から実施予定の烏山地域の居場所づくりは、NPO法人へ運営を委託しまして、地域の住民や団体等の協力を得ながら、高齢者を中心とした多世代交流等も取り入れ、高齢者の居場所事業を実施していく方針で準備をしております。また、今年度の北沢地域にある代田地区会館の居場所事業におきましては、高齢者の活動団体が地域貢献事業としてプログラムを実施しています。
今後の居場所づくりの地区展開においても、区が主体となる居場所づくりだけではなく、各地区の実情や課題を踏まえ、地域の住民やNPO法人などの市民団体が主体的に関わり、運営に参画する体制等を含め、よりよい居場所となるように検討してまいります。
アンケートも行うと先ほども伺いましたので、地域の高齢者とともに進めていただくということを要望しておきます。
次に、上用賀公園拡張事業について伺います。
上用賀公園拡張事業の意見交換会に先日参加させていただきました。この間のオープンパークでは子どもたちの声も聞き、さらにワークショップでは地域住民の皆さんが、我が町にできる公園についてどのような機能が必要なのかということを積極的に意見を出し合うなど、本当に参加と協働の取組が進んでいるなということを思いました。評価いたします。
当該地の四百メートルほど南側にあった、先ほど来言っておりますふじみ荘が廃止され、特に惜しまれたのが、温浴施設と風呂上がりなどにくつろぐことができた大広間でした。上用賀公園でのスポーツ施設整備で温浴施設と子どもから高齢者までくつろげる場所、うめとぴあの一階エントランスのように自由に利用できるスペースなどの御要望を、この間、私も伺ってきました。公共浴場が近隣にはないという地域の課題解決のためにも、温浴施設や自由に利用できるスペースなどをぜひ進めていただきたいというふうに思います。見解を伺います。
上用賀公園拡張事業につきましては、現在、基本計画の策定に向けた検討を進めており、骨子として、取組方針や施設配置の考え方についてお示ししたところでございます。本事業では、基本方針の一つとして、スポーツを中心としたレクリエーションの空間づくりを掲げており、スポーツ施設としては、中規模体育館と屋外である多目的広場の整備を予定しております。
今年度実施したワークショップにおきましては、スポーツ施設に求める機能として、温浴施設やシャワー施設をつくってほしい、多世代が交流できる場にしてほしいとの御意見もいただきました。また、オープンパークでも、健康づくりの場を通したコミュニティーづくりにつながる場、体育館機能でも、コミュニティー形成の場との御意見をいただいております。こうした御意見や他自治体の事例なども参考にしながら、エントランススペースの活用を含め、具体的な施設の規模や必要な機能について検討してまいります。
今後、サウンディングを予定しています。公園の運営についても、従来型なのか、パークPFIなのかなど手法が検討されます。区は、令和二年三月に策定した基本構想を踏まえて運営手法の検討を進めると言ってきました。
従来型の公設民営の場合は、自治体が公園の設計施工、維持管理を負担して、運営を民間に委託するというようなことをやっていましたけれども、例えばパークPFIでは全て民間事業が行います。これにより自治体のコストを削減することを狙うものです。
事業者を誘致するためには、建蔽率を現行の二%を一二%に引き上げて利益を誘導すると。各自治体の条例などで、さらにこの建蔽率を引き上げることができるようになっています。
区の公園は区民の大事な財産であり、公園本来の機能よりも事業者の利益が優先されるケースというのが他自治体で散見されます。これは以前も述べましたけれども、例えば大阪の天王寺公園では、下町感あふれる公園が食と遊びの巨大モールになりました。福岡市の天神にある公園では、建蔽率三〇%超えのレストランに変わってしまいました。
また、公園内に施設を設置する際には、区と、自治体と事業者の協定が定められ、議決事項にもなりません。議会の権限は大幅に後退します。コスト削減だけを追求すれば、公園という区民の財産を民間の利益に身売りするということになりかねません。我が会派は、パークPFIなどの手法を導入することには、この間、反対しているところです。
今後、運営手法について検討されるわけですけれども、現行の都市公園法に従い、公園にスポーツ施設を整備する場合とパークPFIを採用した場合の利用面積に違いがあるのか、確認をしたいと思います。
上用賀公園拡張計画地は、既開園区域と合わせて都市計画公園として都市計画決定をしており、拡張計画に当たっても、都市公園法及び世田谷区立公園条例の規定に従い整備いたします。世田谷区立公園条例では、公園施設として設ける建築物の建築面積は公園敷地面積の二%までとしておりますが、運動施設や備蓄倉庫などの建築物の場合は、いわゆるパークPFIの事業手法を取らなくても、この条例の規定で一〇%の範囲でこれを変えることができます。
このことから、本拡張事業では、既開園区域と本拡張計画地を合わせた約四万一千平方メートルの公園面積に対し、トイレなどの既存の建築物も含め、事業資本にかかわらず、最大で一二%の建築面積を上限として検討しております。
建築面積は手法が違っても変わらないということを確認しました。ありがとうございます。
この間、住民の皆さんから様々な要望をいただいているというふうに思います。区民の財産でありますので、企業の利益最優先ではなく、区民の福祉増進のための公園運営を求め、日本共産党世田谷区議団の質問を終わります。