2023/03/08
日本共産党世田谷区議団の質疑を始めます。
私からは、ハラスメント防止対策について伺います。
ハラスメントは、身体的、精神的な攻撃、上下関係に乗じて支配しようとする様々な形態で人を傷つけ、鬱病や退職に追い込んだり、命さえ奪ったりすることもある決して許されない行為です。加害者に謝罪させることはもちろん、適切な制裁、防止措置、被害者への救済の強化が求められています。日本共産党は、あらゆる分野でのハラスメントについて、実態調査とそれぞれの分野に対応した相談支援体制をつくることを求めています。
区は、職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針を作成しました。苦情・相談窓口においては、課長級二名、係長級二名の体制でハラスメントの相談に当たっていると伺っています。
この間、相談者が区の対応に納得されないというような困難ケースがあったと伺っていますが、こうした困難ケースに対し、どのような対応を行っているのか、また、ハラスメント対応の過程では、被害者だけではなく、加害者ともに深く傷つきます。メンタル不調になることも考えられます。こうした場合の対応について伺います。
相談者と相手方で事実関係の認識が食い違う場合や職場での改善策に相談者が十分に安心できない場合などは、相談の解決に一定の期間を要する場合がございます。この場合も本人に寄り添いながら、所属長と協力し、時間をかけて改善に取り組んでいくことが重要と考えております。
なお、ハラスメントの判断基準について、特にパワーハラスメントは画一的に行うことが難しいとされています。このため、事案の内容によっては、行為が行われた状況、行為の程度や継続性、業務の必要性、日常のコミュニケーションの状況、ほかの職員との比較など多角的な視点から判断する必要があります。
メンタル不調の対応ですが、相談を受ける中で、相談者の健康状態にも注意を払っております。被害を受けた方でメンタル不調に陥ってしまった場合には、臨床心理士によるカウンセリングの御案内や、心身に症状が出ている際には医療機関を受診するよう促しております。
職場全体へのフォローについても、関係する複数の職員を対象に臨床心理士による対応の工夫などの助言、問題解決に向けた支援を行っております。
他自治体の状況を調べてみますと、例えば草津市ではハラスメントの相談の初期段階から相談者の希望などにより、弁護士などの外部相談員を交えた対応を行い、また、ハラスメント該当の有無などの判断は弁護士などの外部有識者から成る調査委員会が入ってやっています。担当者に伺いましたところ、外部相談員や調査委員が入ることによって、中立性と透明性が担保できるということでした。
また、職員の間でも、外部のほうが話しやすいという声があると伺っています。お隣の狛江市も、第三者委員会の設置や調査結果の公表などを行っています。世田谷区においては、相談を受ける際にカウンセラーを同席させることは可能です。
しかし、弁護士はいません。さらに、ハラスメントがあったかどうか、該当するかどうかを判断するのは内部の職員です。初期段階から弁護士、心理士など専門家が関わること、さらに、ハラスメントの該当の有無の判断のため、第三者委員会の設置が必要であると考えます。見解を伺います。
ハラスメント相談につきましては、課長級、係長級職員で対応しております。相談員には、相談対応能力向上のため、臨床心理士を講師とする研修を行い、傾聴や承認のスキルの習得に努めております。
相談する相手が同じ職員ということで、話しづらいなどの場合、区では、内部の窓口のほか、外部の窓口も利用できるように相談事業を委託しております。外部の相談を利用した場合でも、相談者の了承の下、外部からの情報提供に基づき、内部のハラスメント相談職員が所属と連携しながら、職場環境の改善を図っております。
第三者委員会についてですが、区では、相談窓口とは別に、相談事案に対して、より厳正な調査、対応が必要となった場合には、ハラスメント対策委員会を設置し、関係者から事情聴取を行うなど審議を行う仕組みもございます。
様々な相談事案がありますが、職場との連携も含め、現状の相談体制において、対応は十分できるものと認識しております。
ハラスメントであるかを判断するのも内部だということには変わりありません。また、そういった困難ケースは実在しております。十分であるとは私どもは考えておりません。ハラスメントの対応というのは、メンタル面や法律面での専門性が求められます。困難ケースへの対応も想定した取組が必要です。他自治体を参考に、今後検討していただきたいということを重ねて求めておきます。
次に、ハラスメント相談窓口の周知についてです。
頂いた資料では、今年度、パワハラ、セクハラを感じている方は合わせて三百二十五人いらっしゃるということでした。一方、今年度のハラスメントの相談数は、今年度十二月までで七件でした。ハラスメントを感じた方全てが相談が必要との判断はできませんけれども、相談数が少ないのは気になるところです。ハラスメントの相談窓口の周知の強化が必要ではないでしょうか、見解を伺います。
ハラスメントはあってはならないことであり、職員の責務として、職員一人一人がハラスメントに対する正しい知識と認識を持ち、お互いの人格や尊厳を不当に侵害することのないよう、ハラスメントに関する言動に十分注意するとともに、職場の構成員として円滑なコミュニケーションづくりに努め、良好な職場環境の維持、確立に努めるものとしております。
ハラスメントの理解を深め、その発生を予防するために、一般職員向け、管理監督者向けのハラスメント研修を実施するとともに、庁内広報紙「健康管理だより」などへの啓発記事の掲載を行っております。また、ハラスメントのない快適に働くことができる職場環境を目指し、引き続き取り組んでまいります。
それはよろしくお願いいたします。
最後に申し述べたいのは、以前、職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針で述べている職員として規定された常勤職員、再任用職員、会計年度任用職員といった任用関係にある職員を対象とした職員相談が、それ以外の人も含むとの表現が誤解を招いたとして基本方針を見直すと他会派への答弁がありました。
区の基本方針の優れた部分であり、区としてこれは継続していただきたいと思っております。区との任用関係がない委嘱されている方などについても、区別なく、同様の対応を行うことを求めます。見直し撤回を求めて、中里委員に交代いたします。