2023/02/21
質問通告に基づき伺います。
まず、二〇〇〇年基準の耐震化など防災対策について伺います。
報道によると、トルコ南部のシリア国境付近で六日発生した大地震により、両国での死者数は四万六千人を超えました。昨日も新たな地震が発生し、さらに被害が広がっています。お亡くなりになった方々に弔意を表すとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
今回の甚大な被害は、多くが建物の倒壊によるものと報道されています。当区におけるさらなる耐震化が求められます。
昨年行われた災害被害想定の見直しを受け、在宅避難の推進と在宅避難者への支援を強化する方針が示されました。在宅避難中心の対策であれば、区内の建物の耐震化を確実に推進する必要があります。しかし、新たな被害想定では、建物の全壊数は前回から三百九十棟増えています。一九八一年以降の新耐震基準の建物でも倒壊の危険があることが指摘されており、現状の旧耐震の建物だけの支援では、在宅避難の支援どころか、区民の命を守ることができません。
区議団はこの間、二〇〇〇年基準の耐震化に踏み出すことを求めてきました。杉並区などでは、既に八一年以降の新耐震基準の建物に対しても無料の耐震診断、耐震改修費への助成を行っております。新宿区も来年度予算で実現します。東京都も来年度予算で支援を行うとしています。
首都直下型地震から区民の命を守るため、当区においても二〇〇〇年基準の耐震化を早急に進めることを強く求めます。
また、この間、区議団は、震災による火災から区民の命を守るため、感震ブレーカー設置への助成も行うよう求めてきました。東京都は、震災による火災が起きたときの延焼遮断帯となるとして、都市計画道路を整備するとしてきましたが、効果についてのエビデンスもなく、いつ起こってもおかしくない首都直下型地震には間に合いません。
東京都は、来年度予算で感震ブレーカーの配付を行うとしています。世田谷区で実効性を持って十分に活用できるよう、東京都に対し支援方法の提案など、積極的に働きかけていただきたい。見解を伺います。
私からは、二〇〇〇年以前の木造住宅に対する耐震化支援について御答弁申し上げます。
区ではこれまで、世田谷区耐震改修促進計画に基づき、旧耐震基準建築物の耐震化支援を進め、住宅の耐震化率においては、平成二十二年度末から令和二年度末の十年間で八一・九%から九三・四%と、一一・五ポイントの向上を果たしております。
一方で、昨年五月に東京都が公表した首都直下地震等による東京の被害想定では、想定震源地の変更などの影響もあり、十年前と比較し、揺れなどによる区内の建物全壊棟数は三百九十棟増加しております。この被害想定では全壊棟数の約八割が旧耐震基準とされており、区としては、旧耐震木造住宅への戸別周知を加速させるなど、旧耐震基準建築物の耐震化に注力し、被害軽減につなげていきたいと考えております。
議員御指摘の二〇〇〇年以前の木造住宅につきましては、それ以降の建築物と比較し、一部耐震性が不十分なものが含まれるとされ、今後、現在の取組と併せて耐震化を進めていく必要があると考えております。
旧耐震木造住宅への取組を加速させながら、東京都の制度や他自治体の支援内容の効果などを検証し、二〇〇〇年以前の住宅に対する耐震診断や改修の手法などを含め、新たな助成制度の導入に向けて取り組んでまいります。
以上です。
私からは、防災対策につきまして、都の感震ブレーカーの配付について御答弁申し上げます。
都が公表した令和五年度予算案では、出火防止対策促進事業として、震災時に延焼による被害の拡大が懸念される木造住宅密集地域において、町会・自治会と連携し、出火防止に効果的な感震ブレーカーを対象世帯に配付するとしております。
このように、都が直接配付を行うといった制度設計で考えられているところですが、区といたしましても、この都の取組が十分に周知され、配付が行き渡るよう、詳細が分かり次第、最大限の協力をしていきたいと考えております。
また、感震ブレーカーの設置を契機に、家具転倒防止や食料、水、携帯トイレなどの家庭での備えに取り組んでいただけるよう、区の備蓄品のあっせん事業等と連携できないかなど、都に働きかけてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
次に、補聴器購入費助成制度の導入についてです。
高齢者、十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入助成制度を求めた陳情が全会派一致で趣旨採択されました。陳情の趣旨を踏まえた制度にする必要があります。
これまで区議団は、補聴器購入助成制度の早期導入を求め、さらに、補聴器の調整や訓練への支援を行うこと、補聴器の寿命と言われる五年を超えたら再申請できるようにすること、現物支給も併せて検討することなどを求めてきました。補聴器工業会の調査によると、日本における難聴者の数は一千四百三十万人と推定されており、人口に対する比率は一一・三%で、世界で三番目に多いと報告されています。
一方、日本の補聴器の普及率は難聴者人口の一三・五%のみとなっており、欧米諸国の普及率が三〇から四〇%であることに比べ、非常に低い水準となっています。区議団の行ったアンケート調査では、補聴器の利用で世界が変わった、普通の生活に戻ったようだ、ただ、補聴器の買換えには多くの費用がかかるため、続けられるか心配、補聴器を使いたいが高額でちゅうちょするとの声が寄せられ、経済的な問題が、普及が進まない理由の一つであると考えられます。慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科の小川教授は、補聴器は、難聴が進行してからではなく、早期の使用が必要であり、高齢者の日常生活の質の向上を図る上でも有効だと述べています。
区は、第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に向け高齢者ニーズ調査を行っていますが、高齢者の補聴器利用の実情についてどのように認識しているのか伺います。また、補聴器購入助成制度の早期の実現を求めます。見解を伺います。
十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入助成の導入を求めた区議団の質問に対し、区はその必要性は認めてきました。当事者への聞き取りなど実態把握を含め、検討状況を伺います。
私からは、高齢者の補聴器購入費助成制度について御答弁いたします。
高齢者の補聴器購入費の助成については、区民ニーズの把握や制度の持続可能性などを多角的な視点も考慮しながら検討していく必要があると考えております。
区では、令和六年度からの三年間を計画期間とする第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けた高齢者ニーズ調査を昨年十二月に実施いたしました。本調査において、補聴器に関する区民ニーズの把握に努めるため、高齢者の耳の聞こえの状態のほか、補聴器の使用状況や補聴器を持っていない理由などの設問を設けました。
現在、調査の集計中であり、今後、高齢者への補聴器購入費の助成について調査結果も踏まえた上で、第九期計画策定の議論の中で、高齢者福祉サービスの一つとして、その必要性などを議論してまいります。
私からは以上です。
私からは、十八歳以上の中等度難聴者への補聴器購入助成の検討状況について御答弁申し上げます。
昨年十二月、世田谷区議会に中等度難聴者補聴器購入助成制度の実施を求める陳情があり、趣旨採択をされました。区といたしましては、この陳情の趣旨を踏まえ、障害者手帳に該当しない十八歳以上の中等度難聴者を対象とした補聴器購入費助成制度について検討を開始したところです。
中等度難聴者による社会生活上の不便は、年齢のほか、教育や就労などのライフステージ、社会参加の状況等により異なるものと考えております。今後、こうした実態の把握に努めまして、中等度難聴により社会生活上の支援が必要な方への支援充実に向けて、補聴器購入費助成の対象範囲や財源確保等の課題について、高齢福祉部等の関係所管と連携して検討をしてまいります。
私から以上です。
次に、ひとり親や子どもがいる生活困窮世帯への住宅支援についてです。
生活困窮世帯が世田谷区で暮らす場合の大きな課題は、高い家賃です。子どもの貧困対策として区が行ってきた区営住宅のひとり親世帯枠の拡充、国の新たな住宅セーフティネット制度を活用したひとり親世帯家賃低廉化補助事業、区独自にJKKと連携した同様の取組など、積極的に進めてきた努力を評価しています。区がJKKと連携して確保した五件の住宅に対する申込みは十一件となっており、ニーズの高さがうかがえます。
男女の兄弟を持つひとり親の方から、青年期になっても同じ部屋で就寝するなどの実態を伺っています。住宅環境は子どもたちの育ちに大きな影響があります。また、子どもの生活実態調査によると、生活困窮は二人親世帯にも広がっていることから、子どもの健やかな育ちのために、ひとり親世帯のみならず、二人親世帯の生活困窮世帯への住宅支援のさらなる拡充が必要です。
区営住宅の増設や区民住宅の借り上げを行うなど、さらなる支援に取り組んでいただきたい。見解を伺います。
私からは、住宅支援に関する御答弁です。
区では、休業等に伴い収入が減少した方などへ住居確保給付金を支給しておりまして、生活困窮者自立相談支援センター、ぷらっとホーム世田谷では、住居確保給付金の受付業務や、家計の収支が改善される見込みが高い場合には転居の支援等を行ってございます。
区営住宅につきましては、高齢者、障害者、ひとり親の子育て世帯、低額所得者層など、住宅確保要配慮者の居住を支援するため、セーフティーネットの中核として提供しており、都営住宅の移管受入れや建て替えに合わせ、一定数の住戸を確保していくこととしてございます。
また、居住支援法人が民間住宅の借り上げを行い、見守りなど生活支援とセットで住宅確保要配慮者へ住宅を提供する事例が区内にもございますことからも、こうした取組を推進するため、今年度より、居住支援法人が世田谷区居住支援協議会に参画し、法人と不動産団体の連携による円滑な物件確保の方策を検討しているところでございます。
区といたしましては、こうした不動産団体や居住支援法人の御協力、連携強化によりまして、生活困窮者が住み慣れた地域で安心して住み続けられる取組を推進してまいります。
以上でございます。
最後に、指定管理図書館の検証についてです。
区は、指定管理の経堂図書館の事業費が毎年増加していること、一年で三分の一の職員が入れ替わることについて、検証が不十分なまま烏山・下馬図書館の指定管理者制度導入を進めました。今後の区立図書館の民間活用について、図書館運営協議会における検証なくして広げてはなりません。
一昨年十二月十日、区長も参加された図書館問題のシンポジウムに参加いたしました。ここでは、図書館を利用している子どものいる女性から、世田谷の図書館は、子どもがいつ行っても安心できる居場所であってほしい、子どもにとって図書館の案内役となる職員が頻繁に替わってほしくない。また、かつて指定管理図書館で働いていた女性からは、指定管理の図書館で働いていたときは、利用者に提供する取組を企画し制作するなど、家に仕事を持ち帰るほど多忙で苛酷な仕事だった、さらに、給料が低く、家庭を持ちたいと思えば続かない、一年で三分の一は辞めていくなどが語られました。
図書館運営協議会では、費用対効果だけで図書館を評価するのではなく、子ども、若者の居場所機能としてどうか、そのために図書館に何が求められているのか、どうしたら魅力的な図書館がつくれるのか、また、図書館の民間活用により官製ワーキングプアをつくってはいないかなど、しっかり議論する必要があります。
区はこれまで、民間活用の評価、検証について、図書館運営協議会で行っていくと答弁をしてきました。図書館運営協議会が設けられた背景、趣旨に照らし、十分な議論が必要です。ところが、今年度三回目の運営協議会まで民間活用の検証には全く触れられていません。今後十分検証が果たされるのか、区の見解を伺います。
また、図書館の質の確保には、図書館司書を配置し、継続的な人材育成などが必要です。新宿区ではエキスパート職員制度を導入し、レファレンスの質の向上のため、知識と経験を兼ね備えた職員を一定の期間、同一職場に配置する仕組みを行っております。在り方検討会報告でも紹介されています。区も、人事所管と連携して検討するとしてきました。検討はどこまで進んだのか伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
私からは、図書館に関して二点お答えいたします。
まず、図書館運営協議会での議論についてです。
世田谷区立図書館運営協議会は、利用者の視点を取り入れ、図書館運営やサービス水準を安定的に確保するガバナンス機能を持たせた会議体として、令和四年七月に設置いたしました。協議会の開催は年四回とし、今年度は一月までに三回開催し、三月に四回目を予定しております。委員の任期は二年としており、今年度はまず、第二次世田谷区立図書館ビジョンに基づく取組状況に関して、協議会委員全員の共通認識の下、評価指標等を踏まえた区立図書館全体の評価検証を行い、様々な御意見、御提案をいただいているところです。
二年目となる令和五年度には、指定管理者制度を導入した図書館も含めた図書館ごとの具体的な取組状況に関する評価検証についても、議員御指摘の点も踏まえ、十分な議論を行っていきたいと考えております。
次に、継続的な人材育成についてです。
区立図書館では、世田谷区立図書館運営体制あり方検討委員会からの報告書を踏まえ、区立図書館の公共性、専門性を確保し、安定的な図書館運営やサービス水準を維持するため、中央図書館のマネジメント機能強化に取り組んでいるところです。
今年度は、人材育成の新たな取組として、図書館長を対象としたマネジメント能力向上研修を実施いたしました。具体的な地域図書館を事例として、現状分析を行い、特色ある運営を図るために必要な取組を話し合うことで、マネジメント力を培う研修といたしました。
今後もこうした研修の充実や司書有資格者の育成、充実を図るとともに、あり方検討委員会から提案いただいたような知識と経験を兼ね備えた専門的な人材の確保に向けた取組についても、引き続き関係所管と協議しながら検討を進めてまいります。
以上でございます。