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令和4年 第3回定例会 一般質問

2022/09/22

質問項目

地域行政推進条例案について

たかじょう訓子 議員

通告に基づき伺います。

初めに、今般示された地域行政推進条例案について、四点伺います。

一つ目は、条例における住民自治の位置づけについてです。この間、区議団は、地域行政推進条例策定に向け、区民が身近な地区で相談や手続などができるよう、まちづくりセンターの機能充実を図ること、世田谷区基本構想・基本計画にも位置づけられた住民自治を条例の目的として位置づけることなどを求めてきました。今般示された条例案第一条、条例の目的から、住民自治の文言が削除されたことは大きな後退です。

条例案の前文では、地域行政制度の歴史を振り返り、住民自治の実を挙げるため、総合的な行政サービスやまちづくりを実施する仕組みとして、地域行政制度を導入しと述べております。

つまり、地域行政制度は住民自治の実を挙げるために導入されました。だからこそ、当初区は、まちづくりセンターの機能充実と並列で、住民自治の充実を条例の目的と位置づけていました。

しかし、七月八日条例素案では、住民自治の充実を目的から落とし、住民自治の充実に資する地域行政制度と、制度を説明する文言に変更し、さらに、今般提出の条例案では、住民自治の言葉を条例目的から削除してしまいました。

条文は、前文で述べられた地域行政制度の目的となる住民自治の実を上げることを実現する内容とする必要があります。でなければ、論理的に一貫性を欠くものとなるのではないでしょうか。

八月に行われたパブリックコメントにも、住民自治の扱いを重視することを求める意見が多数寄せられましたが、条例案にこうした声が反映されなかったことは問題です。条例の目的から住民自治を削除した意図は何か、このような到達についてどのような認識か。

また、我が党は条例の目的に住民自治を位置づけるべきと考えます。

区長の見解を伺います。

保坂 区長

たかじょう議員にお答えをいたします。

地域行政推進条例案の目的から住民自治が削除された意図について御質問でございます。

今回の地域行政制度の条例化におきましては、基本構想で掲げた一人でも多くの区民が、区政や公の活動に参加できるようにする、このビジョンや、この基本構想の下にある基本計画の基本方針の第一、住民自治の確立に向けて、区の計画や条例の策定などへの区民参加の機会を充実させるとともに、地域行政を進め、住民の意思を尊重した区政運営を行うということを大前提としております。

地域行政推進条例の制定に向けて、区議会の委員会での各議員の皆様の御議論や、また庁内での検討を経る中で、まちづくりセンターを区民生活を包括的に支援する地区の行政拠点として位置づけ、区が区政課題の解決を図る体制を強化することを条例の目的の中心に据えるべきと考えます。

そのために、第一条の目的を見直すとともに、住民自治の実を挙げるため、地域行政制度を導入、運用してきたことを踏まえて、条例の前文に、区民が区政について意見を述べ、まちづくりに取り組む住民自治を進め、安全安心で暮らしやすい地域社会の実現を目指すということを記しました。

地域行政推進条例の下で、地区を要とした制度改革を進め、基本構想や基本計画に掲げてきた区民参加による住民自治を尊重する区政運営の充実を今後も図ってまいります。

たかじょう訓子 議員

二つ目は、職員の育成についてです。

五月二十七日、条例素案では、職員の育成について、区民の立場に立って区政を考える職員を育成すると記されました。我が党は、区の積極的な姿勢と評価しました。

しかし、その後、条例素案から削除され、計画案に移されました。行政計画は条例に基づき策定され、計画期間が終われば見直され変わっていくものです。地区の充実を図るためにどのような職員を育成するのか、区の姿勢を条文で示すことが重要と考えます。

区の見解を伺います。

舟波 地域行政部長

私からは、地域行政推進条例案、計画案に関し、三点御答弁申し上げます。

まず、地区の充実を図るため、どのような職員を育成するのか、条例に示すべきとの御質問でございます。

地域行政推進条例案では、まちづくりセンターの機能の充実強化のため、職員の育成を図ることを定めることから、まちづくりセンターが区民生活を包括的に支援する地区の行政拠点という基本的な認識の下に、推進計画案に掲げました多様な主体や区民活動を尊重し、必要な活動支援や活動をつなげる取組を進め、地域課題の解決を図る職員の育成に取り組みます。

まちづくりセンターが地区の将来像を区民と共有し、多様な地域コミュニティーとの交流、マッチングを進め、区民とともに考え課題解決に取り組むため、行政の専門的知識や経験に基づきコーディネート力を発揮する職員像を描き、職員人材育成方針と連携を図り、推進計画案による取組を着実に進めてまいります。

たかじょう訓子 議員

三つ目は、職員体制についてです。

計画案で、電子申請や、まちづくりセンターに来ることが困難な方を対象としたアウトリーチを行うとの踏み込んだ記載がされたことは重要です。この実現のためには職員配置の強化が必要ではないでしょうか。

しかし、依命通達では、職員を増やさないとの方針が示されました。どのように実現していくのか、来年度予算での対応が必要と考えます。

見解を伺います。

舟波 地域行政部長

続きまして、まちづくりセンターでの御相談や手続を実現するため、来年度予算で必要な体制の強化についての御質問でございます。

地域行政推進条例案により、まちづくりセンターにおいて多様な相談や手続に対応する窓口の実現を目指すとともに、総合調整機能を強化し、地区における防災力の向上や児童館を加えた四者連携による課題解決力の向上を図ります。

こうした役割を担うため、条例案において、まちづくりセンターの人員の配置上の配慮、応援体制の整備、専門的な知見を有する者の活用など体制の強化を図ることを規定し、人員配置のおいては、DXによる業務改革、民間のノウハウや支援の導入なども検討し、新たな業務内容と、実施年次に応じた人員体制を強化してまいります。

たかじょう訓子 議員

四つ目は、まちづくりセンターの機能拡充についてです。

パブコメで圧倒的に多く寄せられたのは、まちづくりセンターに出張所機能を求める声です。速やかに実現するように進めていただきたい。

見解を伺います。

舟波 地域行政部長

最後に、区民がまちづくりセンターに出張所機能を求めていることに向き合い、実現すべきとの御質問についてでございます。

区は、DX推進方針に基づき、自宅等からの相談や手続を行える仕組みを実現するとともに、地域行政推進条例案、推進計画案にお示ししましたまちづくりセンターにおける窓口サービスの改革に取り組みます。

まちづくりセンターにおいて多様な相談や手続に対応するため、まずは映像システムにより総合支所の保健福祉センターと結び、各種相談を受ける窓口をモデル地区において実施し、総合支所各課や本庁などの相談や相談に伴う手続にも順次拡大してまいります。

現在の出張所で取り扱う手続につきましては、映像システムの活用だけでは行えないものもあるため、今後、デジタル化の動向も踏まえ検討してまいります。

以上でございます。

補聴器購入助成について

たかじょう訓子 議員

次に、補聴器購入助成について二点伺います。

補聴器購入助成の未実施区は、残り六区となりました。この間、区議団は早期の購入費助成制度を導入、補聴器の調整とトレーニングをセットで進めること、補聴器の寿命が五年から六年であることを踏まえたものにすること、制度設計に当たっては、補聴器の専門家や医師などに意見を聞くことを求めてきました。

江東区、新宿区などでは購入助成に加え、現物支給も行っており、これにより生活保護世帯の方も、収入認定を心配することなく安心して補聴器を利用できます。先進区を参考に、来年度の補聴器購入助成実施、そして現物支給も組み合わせることを求めます。見解を伺います。

この間、我が党は、現状支援のない十八歳を超えた中等度難聴者への補聴器購入費助成も求めてきました。積極的に進めることを求めます。

山戸 高齢福祉部長

私からは、補聴器購入費助成について二点御答弁いたします。

最初に、助成の実施についてです。

高齢者にとって周囲とのコミュニケーションの確保を図るという意味から、聴覚に関するバリアフリーを進め、日常生活の質を高める上で補聴器を使用することは重要であり、また低所得者の方への配慮も必要であると認識しております。

補聴器購入費の助成は、区民ニーズの実情や制度の持続可能性など多角的な視点を考慮しながら検討していく必要があります。令和六年度からの三年間を計画期間とする第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向けた高齢者ニーズ調査において、まずはニーズの把握に努めます。

さらに、本年十一月から本格的に始まる計画策定の審議の中で、助成について、ニーズを踏まえた上で高齢者福祉サービスの一つとしてその必要性などを議論することとしており、御提案の現物支給も含めて検討してまいります。

たかじょう訓子 議員

次に、聞こえの問題でお困りの方へのきめの細かい支援についてです。

豊島区などでは、スマホのアプリにより聞こえのチェックを行い、必要な方を医療につなげています。当区においても、身近な相談窓口、あんしんすこやかセンターにおいて、聞こえのチェックと併せて認知症チェックを行うことは、高齢者の生活の質の向上、フレイル予防、認知症予防の観点からも重要と考えます。積極的に取り組むことを求めます。

見解を伺います。

山戸 高齢福祉部長

次に、聞こえの問題でお困りの方へのきめ細かい支援についてです。

耳の健康は日常生活やコミュニケーションに大きな影響がありますが、聴力は加齢により徐々に低下し、自覚しにくく、また周囲も気づきにくいものであり、国では難聴を認知症の危険因子としております。

そのため、あんしんすこやかセンターでは高齢者の健康や生活のリスクを把握し、予防や医療につなげるため、高齢者の自宅訪問や健康測定会の開催に取り組むとともに、聞こえの問題がある方への言語聴覚士の派遣などの支援も行っております。

今後も、あんしんすこやかセンターの活動において、御指摘の点も参考にしながら、聞こえの問題をフレイル予防や認知症予防の観点から早期に把握し、介護予防事業や医療につなげるなど取り組んでまいります。

以上でございます。

世田谷区図書館運営協議会について

たかじょう訓子 議員

次に、世田谷区図書館運営協議会について二点伺います。

区立図書館の運営状況の評価検証についてです。区はこの七月に、世田谷区図書館運営協議会を設置し、次期図書館ビジョン策定に向け、区立図書館の運営状況の評価検証、課題及び解決することなどの検討を行うとしています。

この間、我が党は、指定管理館である経堂図書館で三分の一の職員が入れ替わっていること、委託費が年度ごとに増大していること、こういった問題について検証することなく、烏山図書館、下馬図書館へと指定管理館を広げたことについて問題視してきました。

図書館ビジョン第三期行動計画では、民間活用を計画的に導入するとしていますが、検証なしに次の民間活用を広げてはなりません。

世田谷区図書館運営協議会での評価検証の後、今後の民間活用について判断するとの認識でよいか伺います。

内田 生涯学習部長

私からは、図書館運営協議会に関して二点お答えいたします。

まず、図書館の今後の民間活用についてです。

第二次世田谷区立図書館ビジョン第三期行動計画では、経堂図書館の更新に加え、新たに烏山図書館と下馬図書館の二館に指定管理者制度をモデル的に導入し、全区立図書館の評価検証、検討を進めていくこととしております。

本年七月に設置した図書館運営協議会は、魅力ある図書館づくりに向けて、利用者の視点や学識経験者の見識等からのチェック機能を担うものであり、区立図書館全体の事業の実施状況や運営状況の評価検証を実施して、区民ニーズに即した図書館運営や図書館サービスの向上を図ってまいります。

今後の民間活用も含めた図書館の運営体制については、図書館運営協議会での評価検証内容や検討を通じて、いただいた御意見などを踏まえながら、区として検討してまいります。

たかじょう訓子 議員

次に、図書館法に基づく図書館協議会の設置に向け伺います。

世田谷区図書館運営協議会は、図書館法に基づく図書館協議会とは異なる機関です。図書館協議会は、図書館法第十四条と自治体における条例に基づいて設置され、図書館の運営について館長の諮問に応ずるとともに、図書館サービスについて館長に意見を述べる役割を担います。

一方、図書館運営協議会は諮問、答申などは行いません。この間、区民の方から、これでは図書館運営や図書館サービスに区民の声を反映する担保とはならないとの不安の声をいただいております。区民意見が図書館運営や図書館サービスに生かされるよう、図書館法に基づく図書館協議会の設置を求めます。

また、委員が検討に当たり必要な知識となる教育基本法、社会教育法、図書館法などを学ぶ機会や他自治体の図書館等の視察の機会を設けることを求めます。

見解を伺います。

内田 生涯学習部長

次に、図書館法に基づく図書館協議会の設置や、委員が必要な法律を学ぶなどの機会を求める点についてです。

図書館運営協議会は、世田谷区立図書館運営体制あり方検討委員会からの報告書を踏まえ、区立図書館の運営状況の評価検証などのガバナンス機能の役割を果たす仕組みとして、本年七月に設置いたしました。

一方、図書館法が規定する公立図書館が設置することができる図書館協議会は、図書館の運営に関し諮問し、図書館が行う図書館サービスにつき意見を述べる機関として定められています。

図書館運営協議会は、利用者ニーズに即した図書館運営やサービス向上を図ることを目的に、利用者、ボランティア、学識経験者などの様々な立場から構成された柔軟な体制を取った会議体であり、関連法の知識の共有や可能な限りの視察などを行いながら、図書館の評価検証を行ってまいります。

図書館法に基づく図書館協議会については、今後、現在の図書館運営協議会における検討状況などを踏まえ、よりよいガバナンスの仕組みを構築していく中で検討してまいります。

以上でございます。

給食費の完全無償化について

たかじょう訓子 議員

最後に、給食費の完全無償化について伺います。

我が党は、義務教育は無償を定めた憲法二十六条に即して、学校給食や食材費の無償化を進め、義務教育を完全無償にしていくべきと主張してきました。

この間、子どもの貧困対策として、就学援助の拡充を訴え、区は給食費について中間層の家庭まで無償化を広げ、さらに就学援助の利用率を上げる努力も行ってきました。都内でもトップクラスの支援に引き上げてきたことを評価します。

この間、区議団は、給食の完全無償化を進めるためには財源確保が大きな課題であることから、財源について国へ働きかけ、区民理解を得ながら慎重に進めることを求めてきました。

今議会において、給食の完全無償化に踏み出すべきとの議論が続いておりますが、我が党としても決断のときであると考えます。

世田谷区が実施するに当たって、財源確保、区民への丁寧な説明と理解を得ながら、どう進めるのか伺います。

知久 教育総務部長

私からは、給食費の無償化について二点お答えいたします。

まず、財源の見通しと区民への周知についてです。

給食費の完全無償化には約二十億円の予算が追加で必要になることから、実施に当たっては財源の確保が大きな課題となってまいります。

教育の分野では、学校改築に当たり、近隣学校を仮校舎として使用する手法等により経費の削減に努めてまいりましたが、引き続き多くの経費を要する学校改築の手法の見直しなどにより経費削減の積み増しを図るほか、財源所管とも連携し、給食費無償化の財源の確保に努める必要があるものと認識しております。

また、給食費無償化を実施する場合には、区民に対しその背景や目的を明確にお示しし、財源の見通しも明らかにした上で、子育て世帯に限らず、あらゆる世代の方々にも御理解をいただけるよう努めてまいります。

たかじょう訓子 議員

また、給食費の完全無償化を進める場合、現状弁当持参となっているほっとスクール、不登校特例校、フリースクールや自宅で過ごす児童生徒への支援も検討すべきです。

見解を伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。

知久 教育総務部長

次に、不登校のお子さん等についての対応方法についてでございます。

議員御指摘のとおり、不登校の児童生徒は、自宅で昼食を取ったり、不登校特例校ねいろや、ほっとスクールにおいてもお弁当を持参してもらっていることから、給食費無償化のメリットを受ける機会は少ないものと認識しております。

また、学校の給食室改修などにより、一定の期間に給食の提供を受けられず弁当を持参していただく場合もあり、給食費の無償化に当たっては財源のほかにも整理すべき課題がございます。

今後、給食費無償化が実施された場合を想定し、無償化に当たって影響が生じると思われる課題を洗い出し、議員御提案の支援も含めまして、対応の方向性を整理し、必要な対策を検討してまいります。

以上でございます。

たかじょう訓子 議員

図書館運営協議会について要望を申し上げます。

この間、指定管理を受けるようなそういった事業者にお勤めだった方にお話を伺っていますけれども、大変苛酷な状況だということが分かりました。官製ワーキングプアをつくらないためにも、今回、検証は本当に重要です。しっかりと検証していただき、次の計画に反映させていただきたいというふうに思います。

こういった要望を申し述べまして、私の質問を終わります。

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