2021/09/17
質問通告に基づき質問いたします。
まず、北烏山地区会館の統廃合について伺います。
今般、区は利用率の低い区民集会施設における現状と今後の方向性について検討対象十一施設を示し、施設利用の実態の把握、有効活用や統廃合、転用も含め検討し、高齢者の地域参加促進施策の取組の一つである気軽に立ち寄れる居場所の開発や地域コミュニティー活動での一層の有効活用も図るとしました。
烏山地域では、北烏山地区会館を廃止して、寺町集会所に機能移転する案が示されました。利用者の方からは、北烏山地区会館がなくなれば、大勢が集まる会場を借りたい場合、わざわざバスに乗って烏山区民センターまで行くしかなく、気軽に集まることができなくなる、高齢者がいつでも活動できる場所を奪わないでほしいと伺いました。
北烏山地区会館は徒歩で行ける身近な場所で、大勢の仲間が集える場所となっており、地域住民の活動を支えるかけがえのない施設です。統合先では、北烏山地区会館にあった三十人を収容できる会議室は確保されません。代替もない統廃合は、利用者や地域住民の理解が得られません。利用率が低いことを理由にした統廃合に反対します。
現状、世田谷区の区民一人当たりの公共施設面積は東京二十三区中最下位です。さらなる削減は区民サービスの後退につながります。また、北烏山三丁目にある大規模団地では、建て替えを前提とした地区計画策定過程にあり、今後建て替えによる人口増が想定されます。桜上水の団地建て替え時には四百戸から八百戸に増えています。こうした地域の事情を踏まえた検討を求めます。見解を伺います。
そもそも北烏山には大規模な施設がなく、この間、地域住民からは、北烏山地区会館の今後の建て替えの際に五十人規模の会議室や地域ニーズの高いスポーツ室、音楽室を整備してほしいとの要望が寄せられてきました。私も議会で求めてきました。
北烏山二丁目都営アパートの建て替えによる創出地では、区は福祉施設の整備を都に要望し、都からは協議を行うとの回答があったと聞いています。この間、私も高齢者施設や障害者施設など地域の要望の高い施設の整備を求めてきましたが、その際に五十人規模の会議室など区民の交流機能を含む整備を求めます。
見解を伺います。
私からは、北烏山地区会館について御答弁いたします。
区ではこのたび、公共施設等総合管理計画の一部改定案において、利用率の低い区民集会施設の具体的な有効活用策として、北烏山地区会館の機能を同様に利用率の低い寺町通り区民集会所に移転し、跡地の障害者施設としての活用に向けて検討を進める案をお示しいたしました。
北烏山地区会館のある烏山地区については、現在北烏山二・三丁目地区地区計画の策定を進めており、同時に行う一団地の住宅施設の廃止により、現在、用途地域で指定されている容積率や建蔽率の活用が可能となります。このため、将来的に権利者の合意が整い、仮に地区内にある大規模団地の建て替えが進んだ際には、人口の増加も想定されるところでございます。
区といたしましては、こうした大規模団地の建て替えなど、将来の住環境の変化もしっかり認識しながら、地域の今後の施設需要を的確に捉え、利用団体等の地域の方々に丁寧に御説明し、御意見を伺いながら、区民サービスの向上に向けて地域資源を最大限に有効活用できるよう、具体的な活用案の検討を進めてまいります。
以上でございます。
私からは、北烏山二丁目都営アパートの建て替えによる創出地に区民の交流機能を含む施設整備をという御質問にお答えいたします。
北烏山二丁目の都営烏山アパート建て替え事業につきましては、建て替えに伴い、公益的施設等の整備に活用することができる用地が約一千平米創出される予定でございます。
区では建て替え計画に対しまして、平成二十九年六月に東京都が行う公共住宅建設に関連する地域開発要綱に基づき、創出用地に福祉施設の整備を要望し、平成三十年三月に都からは別途協議する旨の回答を得ております。
用地が創出される時期は令和四年度以降になると見込まれておりますので、今後の東京都の協議につきましては、建て替え工事等の進捗状況に合わせて調整を進めてまいります。
都営烏山アパート創出用地につきましては、今後も東京都に福祉施設整備への活用を要望していくとともに、用地の規模などの条件と地域の御意見や地域性などを考慮しながら、福祉施設の整備に向け検討してまいります。
以上でございます。
次に、地域行政推進条例について伺います。
区議団は、地域行政推進条例策定に当たり、住民自治の発展とその仕組みづくりを求めてきました。今般示された条例の検討状況の報告では、二月に報告された骨子案で示された住民主体のまちづくりの推進や区民の主体的、自主的な活動の保障など住民自治の観点が弱まっています。
例えば骨子案で示された区民の役割で
「区民は、区政に関する情報を得て、自己の意思を区の施策に反映させるために意見を述べ、提案することができる。」
「区民は、自らの意思により地域コミュニティを形成し、又は地域コミュニティに参加することができる。」
との記述がなくなってしまいました。
住民主体のまちづくりや住民の参加と提案の権利など、住民自治の理念や考え方を条例に盛り込むことを求めます。見解を伺います。
区民主体のまちづくりの実現のためには、区民の自主性、自発性の尊重が必要です。しかし、今般の検討状況では、区民の努力との表記と、その中身として、区民は町会・自治会をはじめとする多様な主体によるまちづくりについて理解を深め、まちづくりに協力または参加するよう努め、取り組むよう努めなど活動を強いるものと受け取られかねない表現はふさわしくないと考えます。再考すべきです。見解を伺います。
私からは、地域行政の条例の検討における住民自治や住民参加の提案権、また、区民の努力の項目に関する御質問に併せて御答弁申し上げます。
区はこの間、区議会での御議論や区民等の御意見を踏まえ、条例の検討状況では地域行政制度の充実について必要な事項を定めることで、地区を重視したまちづくりの強化を図り、区民自治の充実と地域社会の発展に寄与することを条例の目的としてお示ししたところでございます。
また、まちづくりセンターのコーディネート機能や広報広聴機能、総合支所の区民参加の機会づくりなどの充実強化を図ることなどを掲げるとともに、区の責務として、区の重要な計画の策定時など、地域行政で重視して取り組んできた意義や目的を踏まえることなどを検討しております。
このように、区の責任において地域行政制度の充実を図ることによりまして、世田谷区基本構想に掲げる一人でも多くの区民が区政や公の活動に参加できるようにする。このようなビジョンの下に、住民主体のまちづくりを進め、区民自治の充実につなげたいと考えております。
多くの区民が自らの意思により、区政や地域活動への参加が促進されるよう、住民参加の機会づくりと併せ、御質問の区民の努力などの考え方や表現につきましても、今後、区議会での御議論や町会長会議、関係団体との意見交換などを踏まえて検討を進めてまいります。
以上でございます。
次に、高齢者に対する補聴器購入費への助成を求め、伺います。
現在、区は、聴覚障害の方への補聴器購入費の助成を行っていますが、高齢者施策としての補聴器購入費助成は行っておりません。高齢者からの補聴器購入費助成への強い要望があります。
区内の高齢者からは、難聴になり、補聴器の助成を受け取るため、障害者認定を受けることになりましたが、認定を受けるためには指定の病院での診察や東京都庁まで行かなくてはならず、一か月以上も待たされたと伺っています。煩雑で時間もかかる大変な手続は高齢者にとって負担です。
国立長寿医療センターの調査によると、六十五歳以上の高齢者のおよそ半数に難聴があると推計されています。多くの高齢者にとって難聴は身近な問題、難聴により周りと付き合いづらくなり、引き籠もりぎみになる方もおられます。認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランでも難聴等が認知症の危険因子とされています。
慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科の小川教授は、補聴器は難聴が進行してからではなく、早期の使用が必要であり、高齢者の日常生活の質の向上を図る上でも有効だと述べています。東京都の高齢社会対策市区町村包括補助事業などを活用し、二十三区の中では、実施が十四区、実施予定、検討中が三区となっています。
高齢者の日常生活の質の向上を図るため、早期の補聴器使用が重要と考えます。区の認識を伺います。
また、二十三区で既に六割以上が補聴器購入費助成を開始している中、早期に補聴器利用へとつながる補聴器購入費助成を行うべきではないでしょうか、見解を伺います。
私からは、高齢者に対する補聴器購入費の補助について二点お答えいたします。
まず一点目は、早期の補聴器使用の重要性についてです。
高齢者にとって周囲とのコミュニケーションを図るという意味から、聴覚に関するバリアの解消、聞こえのバリアフリーを進め、日常生活の質を高める上で補聴器を使用することは重要であると認識しております。また、加齢による難聴については、認知症リスクとの関係性も指摘されており、認知症予防のため、その方の聞こえの状況に合った補聴器を使用することは、自分らしく日々の暮らしを続けていくためにも有効であると考えております。
次に、補聴器購入費への助成についてお答えいたします。
補聴器の購入につきましては医療用装具として保険適用は認められていないものの、聴覚障害により身体障害者手帳を交付されている方に対しましては補装具費として支給する制度があります。その支給要件を満たしていないものの、加齢により聞こえづらくなり、補聴器購入への補助を希望される方がいらっしゃることは認識しておるところでございます。
また、補聴器購入費への助成に関する二十三区の状況につきましては、他区で実施した直近の調査結果等によりますと、実施している区が十四区、実施予定または検討中の区が三区、実施していない区が六区となっております。また、実施しているほとんどの区が都の補助金を活用しております。
補聴器購入費の助成につきましては、高齢者の自立した生活のため、加齢により聞こえが悪くなるといった身体機能の低下に対する支援として、他区での取組状況等を踏まえて、区民間の公平性や制度の持続可能性など多角的な視点も考慮しながら検討してまいります。
以上です。
最後に、実効性あるいじめ防止対策を求め、伺います。
いじめは相手に恥辱や恐怖を与えて支配するもので、人権侵害であり、暴力です。
日本共産党のいじめ政策として「『いじめ』のない学校と社会を」を発表しています。子どもの命を守るための協働という観点からいじめを解決した各地の経験に学んだものです。
子どもの命最優先、様子見せずにすぐ立ち上がること、いじめられている子どもの安全確保、いじめている子どもがいじめをやめるまで対応、子どもの自主的活動の重視、被害者、家族の知る権利の保障、教職員の「多忙化」の解消など条件整備などを柱としたものです。
被害者の相談窓口の設置、充実や学校、教育委員会の対応を子どもの命最優先の真に教育的な対応で進めることが重要だと考えます。
私はこの間、区内小学校で起きたいじめ問題の相談が寄せられ、対応してまいりました。学校にいじめの認識がなく、初期対応が遅れました。最終的には転校を余儀なくされました。被害者の子どもと保護者は、学校からいじめと認められないことで二度傷ついたと語っています。こうしたケースを繰り返してはなりません。
現状、当区のいじめ認知件数は少なく、教員、学校のいじめに対する感度を高め、早期に発見し、対応を行うことが求められます。
いじめの現状の課題をどう受け止め、今後のいじめ防止対策をどのように対応するのか、区の見解を伺います。
また、相談体制の拡充、教員への研修の改善、いじめの早期発見、早期対応のために、教員が子どもに向き合うことのできる環境確保を求めます。少人数学級の推進、抜本的に教員を増やすことを求めます。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
私からは、いじめ防止対策について二点御答弁申し上げます。
まず一点目は、いじめの現状の課題や防止対策についてでございます。
いじめは大人が気づきにくい形で行われることが多いため、学校がいじめを早期に発見し、組織的に情報を共有するなどの対応が求められるものと認識しております。また、いじめを受けた児童生徒の立場に立ち、いじめの背景にある事情を把握し、軽微なものでも見逃さずに認知していくことが重要であると認識しております。
今後、いじめの防止対策として、いじめを早期に発見し解決することや、教員が定義を理解し広く捉えること、いじめではないかとの疑いを持って早期に関わり、軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知することとし、教員が一人でいじめを抱え込むことなく、速やかに学校組織で対応することを改めて教職員へ周知してまいります。
もう一点、相談体制の拡充や教員への研修等についてお答え申し上げます。
十二月に開設する教育総合センターでは、専門家による支援グループを編成し、児童生徒や保護者の悩みや不安にきめ細かに対応することで解決を図ってまいります。また、メールをはじめ、相談しやすい体制づくりを検討してまいります。生徒指導主任研修や若手研修等では事例研修などを取り入れ、一人一人の子どもの理解を深める研修会を実施してまいります。
また、学校包括支援員等を配置するなど、複数の大人で子どもの様子を観察、把握できるように取り組んでまいります。少人数学級の推進につきましては、教員の採用、配置を担う東京都に対して、教員の確保を確実に行うよう引き続き要望してまいります。
今後も子ども一人一人の心に寄り添える体制づくりを進め、いじめ防止対策の充実を図ってまいります。
以上でございます。
終わります。