2020/02/20
通告に従い質問いたします。
初めに、老人休養ホームふじみ荘廃止案について伺います。
ふじみ荘は、昭和四十五年四月に世田谷清掃工場の熱源利用による地域還元施設として運営を始め、ことしでちょうど五十年を迎える施設です。
各地域からの送迎バスなどを利用して年間三万八千人が利用している施設です。入館料は一人三百五十円で、高齢者と家族などが大浴場、囲碁、将棋、健康マージャン、カラオケを楽しむことができ、一部屋二千五百円から五千円で宿泊できます。
また、近年では福島の子どもたちと家族を招いて、思い切り世田谷の自然の中で遊び、リフレッシュをしてもらう取り組み、ふくしまっ子リフレッシュin世田谷の宿泊施設としても活用されてきました。
建物の寿命はあと十五年だと言われていますが、耐震にも問題はありません。今般、区は高齢者の地域参加促進施策の拡充についての中で、老人休養ホームふじみ荘廃止案を示しました。これを受けて多くの利用者から存続を求める声が上がっています。
私も、ふじみ荘で地域の高齢者の方々にお話を伺ってきました。その声を紹介します。ほぼ毎日来ており、風呂、カラオケ、健康マージャンを楽しんでいる、ここに来る楽しみがあるから毎日出かけるし、ほかの人と交流もできる、友人が遊びに来たとき一緒に宿泊して親睦を深めることができた、宿泊代も安く気軽に利用できた、世田谷区の北半分は銭湯が多いが、南半分は銭湯が少ない、高齢者は一人で入浴することに大きな不安がある、大浴場があると高齢者にとっては安心など伺いました。
廃止計画を知った利用者から早速、区への反対の声が届けられたと聞きます。また、ふくしまっ子リフレッシュ事業の主催者からも、今後の受け入れ先などの心配の声が寄せられています。
ふじみ荘は、五十年にわたり高齢者の多様な活動と憩いの場として、生活の質の向上、健康増進、社会とのつながりの場として重要な役割を担ってきました。年間三万八千人が利用し、安価な料金で大浴場、大広間等での多様な活動ができる施設は、他の民間施設にはありません。今回の提案は、区民の中では、一方的に唐突に出された計画と受けとめられており、現状、区民理解は得られていません。ふじみ荘の廃止を前提とすることなく、区民利用者の皆さんとよく話し合っていただくことを要望いたします。
現行、公共施設等総合管理計画では、ふじみ荘について、区の直接経費による改修、機能見直しを検討すること、民間資本の導入や規模を縮小した改築、残地の他用途への活用など、費用対効果の最も高い手法を検討するとし、存続方針となっています。この判断は、ふじみ荘存続の必要性を認めたからではないでしょうか。見解を伺います。
次に、子どもの貧困対策について伺います。
この間、子どもの貧困対策について積極的対応を行っています。就学援助では、昨年十月から保護者の教育費負担軽減策として、就学援助の所得制限を引き上げ、給食費については中間所得層まで引き上げました。都内でトップクラスの拡充です。これにより利用率が上がり、必要な方に支援が広がりました。さらなる努力が必要です。
また、この二月末には小学校の新入学用品費の入学前支給が始まります。来年度予算に新たな教育支援が盛り込まれました。区の積極的な対応を評価します。
今般、子ども計画第二期後期計画策定のため実施した子どもの生活実態調査の結果とその詳細分析が発表されました。我が党は調査結果を生かし、全庁的な取り組みで総合的な子どもの貧困対策を進めることを求めてきました。新たに発表された詳細分析と、これを受けた今後の計画について伺います。
今回の詳細分析の特徴として、現在の生活困難層の中で世代間連鎖が見られたのは二割で、八割が新たな生活困難層であることがわかりました。新たな貧困を生まないための対策が必要です。詳細分析では教育の重要性を述べており、来年度予算で教育支援に取り組むことは調査結果にかみ合ったものだと思います。区として新たな貧困が生まれる状況をどう受けとめ、貧困対策の計画をどのように進めるのか伺います。
今回の調査結果は、今後の学校運営にとって有意義な内容だと考えます。詳細分析でも、学校関係者内で共有することが望ましいと述べており、早急に学校関係者への働きかけが必要です。区の認識と今後の取り組みについて伺います。また、学校の現場で子どもの生活実態調査、詳細分析をどのように生かしていくのか伺います。
次に、既に実施されている取り組み、食の支援と、ひとり親への住宅支援について伺います。
子どもへの食の支援について。昨年、子どもへの食の支援が始まりました。食事を一緒につくってくれるボランティアを派遣する事業と、仕出し弁当を宅配する事業です。この事業は、食を入り口に、必要な家庭に支援をつなげることを目的としており、窓口は子ども家庭支援センターです。広く周知せず、相談でつながった方に対し、区の判断で必要に応じて食の支援を進めています。弁当宅配の支援から始まり、ホームヘルプサービス事業の利用に移行するなど、適切な支援につながったケースも生まれています。
当初、食事をつくってくれるボランティアの派遣は二十五件、弁当宅配は三十件との計画でしたが、現状それぞれ七件と十一件にとどまっています。生活実態調査では、食に課題のある子どもが一定数いるとの結果でした。実績が伸びない原因、要因は何と考えているのか、区の見解を伺います。
また、食の支援について広く支援者などに区の支援を知ってもらうなど、さらなる周知の工夫が必要です。見解を伺います。
次に、ひとり親世帯への住宅の支援についてです。
区は、ひとり親世帯への住宅支援、国の新しい住宅セーフティネット制度を活用した、世田谷区ひとり親世帯向け家賃低廉化補助事業を一昨年開始しました。この間、住宅課の皆さんの努力により、先ごろ三件目がやっと成約したと伺っています。東京都全体の実績、これも世田谷区の三件のみとなっています。
この間、国に対し、区として制度改善を求めるよう訴え、区も繰り返し制度改善を求めてきました。詳細分析でも改めてひとり親世帯への住宅の支援の必要があると述べています。引き続き国に制度改善を求めていただきたい。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
私からは、ふじみ荘について御答弁いたします。
公共施設等総合管理計画を策定しました平成二十九年三月には、高齢者が社会参加を継続し、心身の健康を確保するために、入浴や食事を楽しむ憩いの場としてのふじみ荘の有効性を踏まえ、機能を残すことを前提に、区の直接経費による改修や機能見直し、民間資本の導入、規模を縮小した改築、残地の他用途への活用など、費用対効果の最も高い手法を検討することとしておりました。
この間、計画に基づき、民間活用により経費抑制を図りながら改築することを検討してまいりましたが、複合化する高齢者施設の採算性の問題から、実施は困難となっております。
人口増や区民ニーズの多様化に伴い、高齢者の社会参加や健康増進支援は、拠点型の施設整備から、より広い支援を行う仕組みに政策転換することとし、ふじみ荘については令和二年度末をもって廃止する判断をいたしました。
以上です。
私からは、改めて国に住宅セーフティネット制度の見直しを求めることについてです。
区では、国の新たな住宅セーフティネット制度を活用し、ひとり親世帯を対象とした家賃低廉化補助制度を平成三十年度より実施してございまして、本年二月現在、三件の成約となってございます。
この間、登録住宅をふやしていくため、オーナーや協力店に広く制度を認知していただくことが重要であるとの考えから、居住支援協議会でのセミナーやさまざまな機会を捉え、制度の周知に取り組んできておりますが、制度上の課題から、登録住宅数の向上は難しい状況でございます。
一方、そうした中でも、制度利用に関する問い合わせもございまして、登録住宅をふやすためにも、引き続き不動産団体等への協力依頼に取り組んでまいります。
国に対しましては、これまでも改善要望を適宜お伝えするとともに、直接お話ししてきておりますが、今後も引き続き改善に向けた要望を行ってまいります。
以上でございます。
私からは四点お答えをさせていただきます。
まず一点目、子どもへの食の支援事業の利用実績が伸びていない要因についてでございます。
子どもへの食の支援事業は、昨年七月から養育環境の悪化防止や必要な支援につなぐアウトリーチ支援としまして、身近な地域の方の派遣による調理支援と、自宅への弁当の配達を通じた見守りを行う配食事業を開始いたしました。現時点での実績は、お話にありましたとおり調理支援が七世帯、配食事業が十一世帯であり、当初の見込みよりも少ない状況となっておりますが、本事業はその性質から、一般周知ではなく、子ども家庭支援センターが選定し、利用の働きかけを行っております。
選定されるケースは、さまざまな課題を抱えながらもサービス利用に消極的な家庭や支援に拒否的な家庭が多く、関係性構築に時間を要していることなどがその要因として挙げられます。一方、本事業を利用したことで、子どもや家庭の状況が具体的かつタイムリーに把握でき、子どもの笑顔が見られるようになったり、次の支援につながるなどの効果も上がってきておりますことから、今後も引き続き丁寧な働きかけを継続し、本事業の利用につなげてまいります。
二点目でございます。食の支援についての周知を見直すべきという御質問にお答えいたします。
お話にありましたとおり、生活困難を抱える家庭ほど、公的機関への相談や支援サービスの利用意向があるにもかかわらず利用につながっていない状況であるため、支援サービスを充実するだけでなく、子どもや保護者を支援につなげることが重要であると認識しております。
これまで区では、必要な支援につなぐ取り組みといたしまして、子どもへの食の支援事業のほか、早期発見、早期支援につなぐための気づきのシートを区立保育園や児童館、小中学校等の子どもとかかわる関係機関に配布し活用してまいりました。次年度以降はさらなる取り組みといたしまして、この気づきのシートをより多くの子どもを支援する関係機関に配布するとともに、生活困窮等に陥ったときに利用できる支援サービスを、子ども自身にも活用できるようわかりやすくまとめた冊子を作成いたします。支援者には、この冊子と気づきのシートを一緒に活用していただくことで気づきの感度を上げまして連携強化を図るとともに、潜在的なケースを支援につなげてまいります。
次の御質問です。新たな貧困が生まれている状況に対する貧困対策についてでございます。
今年度実施しました子どもの生活実態調査の詳細分析では、保護者が子どものころから生活が苦しく、現在も困窮しているという、いわゆる貧困の連鎖があるということだけでなく、子ども期には困窮していなかったけれども、保護者となった現在は困窮しているという新たな貧困が生まれていることもわかってまいりました。また、現在の社会経済状況の影響のほか、子どものころに親から受けた暴力や母親の抑鬱傾向と生活困難には関連性があることもわかり、新たな貧困の背景にさまざまな課題があると考えられ、このような状況を重く受けとめております。
区といたしましては、まずは貧困の連鎖を断ち切り、新たな貧困の連鎖を生まないために、子どもの居場所づくりや、地域における学習支援の充実等を図り、また、暴力の連鎖に対しましても、体罰によらない子育てなどを進める親支援講座や、身近な相談体制等を充実して対応してまいります。今後とも子どもにかかわる関連部署が連携し、効果的な施策が展開できるように全庁的に推進してまいります。
四点目でございます。子どもの生活実態調査の結果を学校関係者と共有し取り組むべきという御質問にお答えいたします。
区では、子どもの貧困対策については、教育委員会事務局を含む庁内横断的な子どもの貧困対策推進連絡会にて連携して取り組んできております。子どもの生活実態調査の実施に当たりましては、アンケート票作成の段階から、小中学校の校長等の意見も取り入れながら準備を進めてまいりました。調査結果につきましても、報告書を小中学校に配布するとともに、昨年七月から八月にかけて三回開催いたしました調査結果報告会には、校長を初め養護教諭などの教職員にも参加していただき、子どもや家庭の状況を共有してまいりました。
その後、詳細分析を進める中で詳しく見えてきた内容といたしまして、親や学校の先生への相談の頻度が高くなるほど、いじめられた経験のある子どもが孤独感を抱く可能性が低くなるなど、教職員が子どもとかかわる上での大切な視点が含まれておりまして、これについても共有をしているところです。
今後、子どもの貧困対策計画や詳細分析も含めた調査結果概要についてリーフレットを作成し、小中学校にも配布してまいります。また、この結果をもとに見直しを行いました気づきのシートもあわせて配布し、気づきの感度を上げ、支援が必要な子どもを支援につなげてまいります。
以上でございます。
子どもの生活実態調査の結果の教育委員会での活用について御答弁申し上げます。
子どもの生活実態調査では、不登校傾向にある子どもや、いじめられた経験のある子どもに関する分析などが行われており、教育現場においても有用であると考えております。教育委員会といたしましても、教員研修を通じて子どもの貧困を学校が課題として把握し、支援へとつなげていくことができるよう取り組みを進めてまいります。
以上でございます。
子どもの貧困対策、教育部門のところで少し再質問したいというふうに思います。
研修でこの貧困対策ではなく、生活実態調査やその詳細分析などを共有していただけるということでしたけれども、各学校にも配布するということでしたので、ぜひ学校でも何らかの形でこのことについて話し合うとか、共有する時間を持っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
各学校においても活用していただくよう働きかけてまいります。
以上でございます。
それから、先ほどの答弁にもありましたけれども、学校間、学校の中で、学校の先生、そして養護教諭やスクールカウンセラーとかかわりのある子どもというのは、非常に貧困であったり、いろいろな問題を抱えていても、前提として前向きな自己肯定感が高いということがわかっていると、すごくいい、前向きな結果が出ていると思うのですけれども、本当にこれは教育所管で、教員の多忙化について本当に取り組んでいただいて、子どもと先生が一緒にかかわれるという時間をぜひふやしていただきたいということを申し上げて、終わりといたします。