2019/06/14
質問通告に基づき、質問いたします。
まず、産業振興基本条例について伺います。
区は、二十年ぶりに産業振興基本条例の見直しを行うとしています。三月に発表された世田谷区経済産業の動向によると、区内の事業所数は二万七千三十四事業所、従業者数は二十六万二千六百八十九人、中小企業は区内の全企業の九割以上を占めています。中小企業は地域経済の根幹であり、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献する存在です。地域に根をおろし、ものづくりやサービスでの需要に応え、雇用を生み出している中小企業の役割はますます大きくなっています。
烏山地域の高齢者の多い団地近くで商売をされているパン屋さんからお話を伺いました。こちらは駅から離れ、住宅街にあるので、日用品も扱っています。お客さんの多くは高齢者で、お得意様の要望で品ぞろえをしています。地域の暮らしを支えていることを自覚し、頑張っていますが、経営は難しいと伺いました。地域に密着した小規模事業者が地域住民の暮らしを支えています。
国会では、二〇一〇年に中小企業憲章、二〇一四年に小規模企業振興基本法が全会一致で可決、成立いたしました。成長発展だけでなく、事業の持続的な発展の重要性を明確にし、国、地方自治体に施策の策定と関係団体との連携を責務とし、個人事業主や従業員数五人以下の小規模事業者などを地域経済の主役として位置づけています。
今回、条例の見直しに当たって、改めて個人事業主、小規模事業者は地域の中で必要とされる重要な存在であるとの立場で取り組んでいただきたいと思っております。区の見解を伺います。
条例の見直しに当たって、二点提案いたします。一つは、条例の基本方針には、今、商・工・農の振興が位置づけられています。この位置づけが施策に反映し、三産業中心の取り組みとなってきました。世田谷区経済産業の動向によると、世田谷区は、生活関連サービス・娯楽、教育・学習支援、医療・福祉の事業所数が都内で一位となっています。区内の多様な事業所を対象とする条例にするべきです。
二つ目は、区の責務として、個人事業主や小規模事業者への支援を条例に位置づけることを求めます。区の見解を伺います。
次に、少人数学級の推進と教員の多忙化解消について伺います。
日本の教育予算はOECD三十四カ国中ワーストワンです。一学級の人数は、欧米では二十名から三十名が当たり前であるのに、日本では小学校三年生以上は四十人学級のままです。教員の多忙化は社会問題となっており、多忙化解消は喫緊の課題です。教員の方々からは、新たな事業が次から次へとふえて対応に追われている、子どもに接する時間、授業の準備を行う時間が重要であるが、十分に行うために長時間労働にならざるを得ないと伺っています。
私たちは、少人数学級を実施し、教員が子ども一人一人と向き合い、授業研究も十分に行えるようにすることこそが教育の充実に直結し、ひいては不登校やいじめの問題などを打開する鍵となると考えます。
教育長は、先ほど教員の多忙化解消のために実態調査の実施について積極的な答弁をされました。我が会派としても繰り返し求めてきたことです。ぜひ取り組んでいただきたいと思っております。少人数学級、教員の多忙化解消について、教育長の見解を伺います。
また、教員の多忙化解消のために世田谷独自の教科「日本語」、学力テストなどを見直すよう求めてきました。今後、多忙化解消をどのように進めていくのか見解を伺います。
次に、都市計画道路補助二一九号線について伺います。
六月五日、給田小学校において東京都建設局による都市計画道路補助二一九号線の事業概要及び測量説明会が行われました。都市計画道路補助二一九号線は五十二年前に計画され、三年前に都市計画道路第四次事業化計画で優先整備路線に指定されました。
北烏山八丁目、烏山通りと中央高速道路側道との交差点から北西に向けて伸びる幅員十六メートルの全長五百六十メートルの道路整備計画です。補助二一九号線によって、認可園である小鳥の森保育園の園庭の全てが道路に、烏山地域の貴重な広い公園であるもぐら公園の四〇%ほどが道路になってしまう計画です。
第四次事業化計画が示されたときに行われたパブリックコメントは、全都で二千八百六十二通寄せられました。多くの路線では、コメント数は一桁台であったのに対し、補助二一九号線については反対、見直しを求めるコメントが二百二十三件も寄せられました。全コメント数の一割に迫る数でした。我が党としても計画の見直しを求めるものです。
今回の説明会でも地域住民の方から百六十人が参加しました。パブリックコメントの内容についても少し御紹介します。もぐら公園や保育園、静寂な環境を壊してまで道路整備を行う必要性を感じない。もぐら公園の烏山プレーパークは本来の子どもの遊びを思い切りできる場所として地域の住民が話し合い心血注いできた大切な場所である、一時的な便宜のために、これらの未来を担う子どもたちの遊び場を減らしてまで道路をつくる必要はない、このような声が寄せられました。
今回の説明会でも、子どもたちから広い公園を奪わないでほしい、こういった声が大変多く上がりました。また、給田小学校の通学路を横切る計画であるが保護者には知らされていない、知らない保護者がまだ大勢いる、いろんな事情で参加できなかった方も含め、広い住民を対象に説明会を行ってほしいなどの意見、要望が出ました。東京都の周知の仕方、説明会のあり方には問題があったと認識しています。
多くの住民の皆さんの不安や不満は当然であり、東京都に対し、給田小学校の保護者、そして周辺の地域の住民に対し周知と説明会を行うことを区として求めていただくだけでなく、今後、区として区民の皆さんの不安や要望などの声にどう対応していくのか伺います。
次に、子どもの貧困対策について伺います。
区は、子どもの貧困対策を進めてきました。昨年度は子どもの生活実態調査を行い、今後、調査結果を受け詳細な分析を行うとしています。子どもの生活実態調査からは、世田谷区の子どもの一割、一万二千人の子どもが生活困難層に暮らしていることがわかりました。今後の子どもの貧困対策推進について区長の見解を伺います。
また、区の子どもの生活実態調査で、生活困難層が賃貸住宅に暮らす割合が東京都の調査の結果と比べても高いことがわかりました。住宅問題を貧困対策の柱に位置づけると区長の招集挨拶にありましたけれども、今後どのように進めていくのか見解を伺います。
新しい住宅セーフティネット制度を活用したひとり親への家賃低廉化補助制度、これが十月から始まりました。ことし第一回定例会でも質問させていただきましたが、残念なことに実績は一件です。全国でも四十三件、こういった実績にとどまっています。
私たちは国土交通省に対し制度の変更も求めてきました。そして、世田谷区も国土交通省に対し制度の変更を求めてきました。この進捗状況と今後の取り組みを伺います。
また、この間、二組のひとり親世帯が世田谷区の家賃低廉化助成の制度のチラシを持って不動産屋を訪ね、この制度の活用をさせてほしいと依頼がありました。利用要件に値しましたが、この登録、成約にはつながりませんでした。実際に要件が合う方が制度の活用を求めています。墨田区で行われているように、成約金として五万円が支払われる制度があります。ぜひ区としてもこの工夫などを求めます。
以上で壇上での質問を終わります。
たかじょう議員の御質問に答えます。
子どもの貧困対策についての認識についてであります。
子どもは地域の宝であり、これからの社会を築いていく大切な一員であります。同時に一人の人間として現在かけがえのない存在であり、分け隔てなく、子どもたちが未来に希望を持って自分らしく育っていくことを願って、子ども・子育て応援都市を四年前に宣言し、子ども・子育て施策に取り組んでまいりました。
区では、平成二十七年十一月に、貧困の未然防止、貧困の連鎖の防止の観点から、子どもの貧困対策の展開を図るための方向を定め、学習支援の充実やひとり親世帯の住宅支援など庁内横断的に取り組んできました。子どもの貧困対策に取り組んでいくことは、まさに貧困の世代間連鎖を断ち切って暮らしを底上げする大変重要な政策だと考えております。
昨年度実施いたしました子どもの生活実態調査におきましては、生活困難を抱える小中学生が一割を超えて存在していて、家庭環境や経済状況等は、子どもの食や体験など少なからず影響を及ぼしていることがわかってまいりました。
この結果を受けとめ、今年度は詳細分析を実施して実態を把握し、国や都の動向も踏まえながら、子どもの学びや居場所、生活、住まいの支援など、子どもの貧困にかかわる関係部署が連携をいたしまして総合的に取り組むように指示をしたところであります。わけても住宅支援は子どもの居住環境に直接改善をもたらす効果があるものとして重要視し、今後、取り組んでまいります。
私からは、少人数学級の推進と教員の多忙化解消について御答弁申し上げます。
急激な社会情勢の変化や予測困難なこれからの社会を生きる子どもたちに必要な資質、能力を身につけさせるようにすることは学校教育の使命であり、その役割を直接担う教員が子どもたち一人一人とより多くの時間を過ごすことができる環境を整えることは大変重要であると考えております。
少人数学級につきましては、子どもたちをより深く理解したり、きめ細やかな個別対応を行ったりする点で指導効果が高まる要素の一つであると捉えております。国の定める教職員の定数にかかわる法や制度において実現はなお難しい状況にありますが、引き続き教育長会等を通じて要望をしてまいります。
また、いじめや不登校などの困難な事案に校内で複数の教員でサポートし合い、チームとして取り組む組織的対応を行うことや、学校行事や授業に地域のマンパワーを活用することなどさらなる働き方改革の検討、給食費の公会計化などに続く学校の業務負担の軽減策の検討を通じて、教員の多忙化解消に向けて取り組んでまいります。
以上でございます。
私からは、産業振興基本条例など二本について御答弁いたします。
まず、個人事業主、小規模事業者などについてです。
区においては、事業所の約九割以上が個人事業主、小規模事業者や中小企業で占めており、中でも小売業、卸売業の割合が多くなっています。区では、本年三月に経済産業白書を作成し、区内産業の状況把握や分析を行いましたが、区内事業者の景況感には回復の兆しが見られるものの、お話しのあった小売業などはまだまだ厳しい状況もうかがえるなど、世田谷区内の事業所を取り巻く社会経済環境については課題があるものと捉えております。
区を取り巻く状況は変化し続けており、区内には、個人事業主、小規模事業者、中小企業を含め、多種多様な産業分野が存在し、業種ごとにさまざまな経営上の課題や悩みなどを抱えている状況にあると考えております。区としては、引き続き経済動向を注視しながら、区内産業の育成支援を行ってまいります。
次に、多様な産業や個人事業主、小規模事業者への支援を条例に位置づけることについて答弁いたします。
産業振興基本条例については、商業、工業、農業といった産業分野ごとの役割のほか、区と事業者の責務などについて区の産業政策の基本的事項を定めたものです。平成十一年の条例制定から既に二十年が経過しており、区内産業を取り巻く環境は大きく変化しているものと捉えており、新たな産業分野、例えば医療福祉、教育など多様な産業分野の育成や支援を横断的に取り組んでいく必要があるものと考えております。
また、新たな産業ビジョンでは、区内の全ての産業が時代の変化に合わせた新たな視点から活性化を図ることが必要不可欠であるとの認識を示したところです。これらの視点を踏まえまして、条例の見直しに当たりましては、議員お話しの視点も含めまして、多様化する区民ニーズや新たな産業技術の発展による社会環境の変化などに適切に対応するとともに、議会での御議論もいただきながら、区内の産業の活性化につなげられる条例となるよう必要な検討をしてまいります。
以上です。
私からは、教員の多忙化解消の取り組みについて御答弁申し上げます。
教育委員会では、教員が子どもとかかわる時間の拡充を掲げ、これまで校務支援システムの導入、給食費の公会計化や夏休みの学校休業日の設定に取り組んでまいりました。教科「日本語」につきましては、新学習指導要領の改訂に伴い、必修十八時間と選択十七時間を各学校が設定できるようにするとともに、新しい中学校一年生の教科書において授業の狙いや発問を掲載するなど、教員の誰もが指導しやすい工夫を行っております。また、学識経験者や校長代表から成る検討委員会を立ち上げ、指導資料等により負担軽減が図れるよう検討を進めてまいります。
区の学力調査につきましては、国や東京都の学力テストだけでは把握することのできない児童生徒一人一人の基礎的な学習内容の習得状況とそれを活用した思考力、判断力、表現力等を把握するために実施しているものであり、結果を学力向上に役立てるための研究、検討を教育総合センターの開設に先行して実施してまいります。
教育委員会といたしましては、現在の教育施策を適切に検証、検討するとともに、教員の多忙化解消に向けて、校長会と連携しながら、各校が実践している工夫ある取り組みを共有しながら世田谷区の教育の充実に取り組んでまいります。
以上でございます。
私からは、都市計画道路補助二一九号線についてお答えいたします。
先日、事業者の東京都により、事業概要及び測量調査などに関する説明会が開催されました。説明会においては、当該道路整備により広場や保育園の園庭が削られるなど、区民生活への影響について不安の声もあり、都は当日参加できなかった方々に対し個別に対応することと回答しております。広場と保育園の施設について、施設開設時からの前提であったとはいえ、一部が都市計画道路になるなど、区民生活に根差した大切な施設に影響が及ぶことが不安の声にもつながっているものと考えております。
区には、道路ができ上がった後も道路以外の部分で存続する施設について、今後、区としてどのように対応していくのか、また、交通安全をどうするのか、沿道のまちづくりなど区として取り組む役割がございます。その役割を果たすためには、まず地域の声を傾聴し、丁寧に説明、情報提供することが大切であると認識しております。
区では、今後とも関係所管と連携しつつ、区に寄せられる区民の声を丁寧に受けとめ、道路整備に対する地域の理解と住民合意を大切にしながら、東京都との連携のもと取り組んでまいります。
以上です。
私からは、三点御答弁を申し上げます。
初めに、貧困対策において、住宅問題に関する今後の住宅政策についてです。
子育て世代などの住宅の確保に配慮が必要な方への入居支援の取り組みといたしましては、平成十九年度より民間住宅の空室情報を提供するお部屋探しサポートを、高齢者、障害者、ひとり親世帯を対象に実施し、昨年度よりひとり親世帯への家賃低廉化補助制度を実施してまいりました。
また、住宅確保要配慮者として、高齢者の入居につきましても、貸し主への不安解消策といたしまして、安否確認の見守りや原状回復、事故対応費用などの補償がセットとなった見守りサービスを開始したところでございます。区といたしましては、今後とも、高齢者、障害者、ひとり親世帯等住宅確保要配慮者への対策につきましては早急に取り組む必要があると課題を認識してございます。
いつまでも住みなれた地域で暮らし続けられるよう、居住支援協議会におきまして協議、検討を進めていくとともに、第四次住宅整備方針改定において、住宅委員会の有識者や関係者等と議論してまいります。
次に、住宅セーフティーネットを活用したひとり親世帯への助成制度における国への要望についてです。
ひとり親世帯を対象とした家賃低廉化補助制度につきましては、昨年より国の新たな住宅セーフティネット制度を活用して実施してございます。この間、制度利用希望者みずからが不動産店に問い合わせるケースが数件あり、区より不動産店に直接お伺いして制度の説明を行ったところです。
こうしたことから、区は広く制度を認知していただくことが重要であると認識してございまして、現在、協力店や事業対象の住宅をふやすため、制度の周知や取扱店への協力依頼などに取り組んでいるところでございます。しかしながら、当制度は、オーナーが入居者から謝礼金等を受領することができず、入居の収入要件も家賃相場や地域事情にかかわらず全国一律であるなど制度上の課題があり、対象物件や制度利用者がふえていない状況にございます。
制度面での課題事項につきましては、これまでも東京都や国に対して改善の要望を伝えておりまして、昨日も国の居住支援協議会のヒアリングに合わせ、この制度面に関してお話をさせていただいてございます。今後も引き続き、さまざまな場面を捉え、改善に向けた要望を行ってまいります。
最後に、墨田区の事例など工夫を求めるについてです。
お話にございました墨田区では、国の新たな住宅セーフティネット制度が実施される以前より、住宅あっせん制度として、高齢者、障害者、ひとり親世帯を対象に、不動産団体への物件情報を依頼して賃貸借契約が締結された場合に家主に緊急時協力金として支払う制度を実施してございます。また、本年度からは、住宅セーフティネット制度を活用した家賃低廉化制度に対しても同様に緊急時協力金を支払う制度が開始されたとのことでございます。
区といたしましては、ひとり親世帯への住宅確保に関する支援対策につきまして、今後も引き続き居住支援協議会におきまして多面的に検討してまいります。
以上でございます。
補助二一九号線について質問します。
住民の要望は、個別対応ではなく説明会の開催です。この実現のために区としてどのようなことを行うか伺います。
二一九号線の再質問にお答えいたします。
個別対応においては、皆さんの個々の抱えている背景や事業に対する疑問点などさまざまな声をきっかけに行政側が受けとめ、わかりやすくお答えするということであると考えております。東京都にも改めて丁寧な対応をするよう求めてまいります。
以上でございます。